<オープン戦:ロッテ3-4阪神>◇19日◇QVCマリン

 や~っと主力野手から満開宣言だ。打線をつなぐキーマンが完全に目覚め、阪神がオープン戦2勝目を挙げた。2番を任される大和外野手(26)が土壇場9回の決勝適時打を含む4安打!

 チームと同様に打撃低迷に悩んだ時期もあったが、開幕直前に本来の姿を取り戻した。西岡が離脱し、鳥谷も復帰したばかり、4番ゴメスもまだこれからと不安だらけの猛虎打線で、大和の花がパッと開いた。

 最後は自分で決めた。同点の9回2死二塁だ。ロッテ大谷のシュートが内角ぎりぎりにきた。大和は腕をたたみながら、きれいにはじき返した。打球は左翼線上に伸びるとライン内側に弾んだ。決勝の適時二塁打。定評のある内角打ちをさらに進化させた芸術的な打撃で、虎にオープン戦2勝目をもたらした。

 「最初と最後は自分でも納得した打撃ができました。結果も出ていますし、気持ちの部分でもよかったと思います」

 主力打者の状態が上がらない中、打線をぐいぐいと引っ張った。4回の第2打席で先発藤岡のストレートを中前にはじき返した。追加点への突破口を開いた。5回にもチャンスを広げる左前打、7回にはしぶとく二塁内野安打。口火を切り、チャンスを広げ、最後は試合を決めた。大和の1試合4安打はレギュラーを張った昨季も開幕戦(3月29日ヤクルト戦)で1度あるだけ。今オープン戦のチーム全体でも最多となる大当たりだ。

 「やっと大和らしいものが出てきたかな」

 険しい表情が続いている和田監督も大和の話題ばかりは、手ごたえのある様子で話した。西岡が前日、首が動かないほどの背中痛で戦線離脱し、鳥谷も背中の張りから復帰したばかり。4番ゴメスはようやく実戦を始めたところだ。打線に不安要素がたくさんある中で、指揮官の心配事をひとつ減らした。

 まだ春の訪れが遠く感じられた3月上旬だ。チームが連敗地獄にあえいでいるころ、大和も悩みの中にいた。9日巨人戦を終えた時点でオープン戦は18打数2安打、打率1割1分1厘。結果も出ないが、深刻なのは内容だった。

 「タイミングが取れなくて…」

 投手との間合いをはかる左足の動きは、めまぐるしく変わった。小刻みに動いたり、振り子になったり…。桜のつぼみがふくらみ始めると、大和の左足も的確なリズムを刻むようになった。そして開花宣言を聞くと同時に一気に満開見ごろだ。春の予感を運んできた男は帰りのバスに乗り込む間際にこう言った。

 「これでいこうという形はできました」

 もう10日を切った、新シーズンの始まりへ。大和は開幕OKだ。【鈴木忠平】