<オープン戦:ソフトバンク8-4日本ハム>◇19日◇ヤフオクドーム

 本番を見据えた「二刀流」で、大不振から一気に抜け出した。日本ハム中田翔内野手(24)が10試合、32打席ぶりの1発を放った。4回の右翼席への3号を含むオープン戦初の猛打賞と爆発した。今季は三塁転向に挑戦し苦戦中。打率1割台に低迷していたことから精神的負担の軽減も狙った、今季実戦初の本職の左翼手起用が奏功した。内外野の併用プランを試験運用し、いきなり光明が見えた。

 「番長」のオーラが戻っていた。32打席ぶりの1発を含む3安打。今季初の猛打賞に、試合後の中田は冗舌だった。「(不振の原因が)僕の場合、メンタル的なものなので」とニヤリ。晴れやかな表情が、打撃不振から完全に脱却したことを意味していた。「開幕が近くなってきたので、どんどん調子を上げていきたい」。すっかり、頼れる4番の顔だ。

 4回1死、ソフトバンク寺原の外角直球を、右翼スタンドまで運んだ。今月4日巨人戦以来となる本塁打の感触。会心ではない。特大でもない。本人も「ただの振り遅れ」と苦笑する。だが、“メンタル”には大きく作用した。7回にも中前打を放つと、9回には1ボール2ストライクと追い込まれた中で、変化球を右前に転がした。「コンパクトに打てた。あれ(本塁打)で、丁寧に打席に立とうと心掛けた」。1本のアーチが、すべてをリセットしてくれた。

 メンタルを揺さぶる、栗山采配もあった。試合前に、突然告げられた。「レフトでいくぞ」。今季は終始三塁に挑戦しており、1度の練習もしていなかった左翼でのスタメン。急きょだったため、グラブは谷口に借りた。3度の守備機会を無難にこなし「慣れてる場所だし、すごく守りやすかった。気持ちよく守らせてもらいました」。守備のリズムが、打席にも好影響をもたらした。

 栗山監督は、守備位置の変更と打撃不振脱出について「それは関係ない」と言った。だが「翔のことも考えているし、チームを勝たせるということもある。開幕に向けて、どの形がチームを勝たせやすいか。(左翼中田という)そういう選択肢はずっとあった」と、単なる気分転換ではなく、公式戦を見据えての起用であったことを認めた。開幕後も、三塁と外野の「二刀流」をこなしていく可能性が高くなった。

 オープン戦は残り3試合。中田はロッカーに眠っている、外野用グラブを準備する。「あるよ。捨ててないからね」。指揮官の悩みの種はまたひとつ増えたかもしれないが、主砲が目覚めたことは、チームにとってなにより明るいニュースになった。【本間翼】