<イースタン・リーグ:西武8-1日本ハム>◇19日◇西武第2

 日本ハムの正捕手に逆転、開幕滑り込みの希望が膨らんだ。左足首関節捻挫で離脱中の日本ハム大野奨太捕手(27)が電撃的に実戦復帰した。「2番・捕手」で先発出場。途中交代ながら2打席に立ち、右中間二塁打を放つなど復調ぶりをアピールした。21日ヤクルト戦(神宮)で1軍合流予定。突貫調整だが、絶望視された開幕へ間に合う可能性が高まった。

 朗報ともいえるカムバック劇が、静かに実現した。大野がマスクをかぶり、打席に立った。観衆もまばらな西武第2。開幕ローテーション候補の上沢とコンビを組み、2回まで守備に就いた。初回には右中間二塁打も放ち、第2打席では四球も選んだ。投げて、打って、そして走った。「感覚的には、ほど遠い。でも(試合に)出ることが目的だったので」と開幕戦出場へ第1段階をクリアした。

 初回の走塁では、患部の痛みに耐えかね苦痛の表情だった。ただ、万全でなくても選手会長に頼りたいチーム事情がある。1軍捕手陣は不安を抱える。18日ソフトバンク戦で近藤が5盗塁を許した。巨人から移籍してきた市川も実績がなく未知数。昨季、12球団NO・1の盗塁阻止率4割2分1厘を誇った大野が復帰できれば心強い。「不安はあるけど、ここ何日かで解消できれば」。8日後に迫った開幕戦を見据え、今季の節目に臨む意欲を見せた。

 約1カ月ぶりの実戦出場が、かなった。走塁時に負傷した3月20日のロッテとの練習試合以来。全治3週間の診断結果。捕手は特に負担がかかる個所であることから、開幕までの復帰は絶望視されていた。2軍の千葉・鎌ケ谷で地道にリハビリに励み、道は開けた。痛みが残るが、患部に問題がなければヤクルト戦で1軍合流する見込みになった。栗山監督は「(23日巨人戦まで)3試合行かせる。短いイニングになるだろうけど」と、ゴーサインを出す心の準備を整えた。選手会長&正妻の肩書を持つ強力なピースが、大一番までに復活しそうだ。【木下大輔】