<オープン戦:ロッテ3-4阪神>◇19日◇QVCマリン

 起死回生で滑り込んだ。阪神岩田稔投手(30)がロッテ戦先発で、5回5安打2失点と粘った。当初は秋山が濃厚だった先発5枚目を託され、4月2日中日戦(京セラドーム大阪)での先発が内定した。中日キラーの本領を発揮し、開幕ダッシュを支える一員となる。

 岩田の粘り勝ちだ。5日の教育リーグ・ソフトバンク戦(雁の巣)で3回6失点の大乱調から2週間。先発剥奪のどん底から、大逆転で開幕ローテ5枚目を勝ち取った。

 最大の課題だった立ち上がり。5日の6失点も1回1死を奪う前に与えた2点がきっかけだった。先頭清田の二塁打からこの日も1死三塁のピンチを招いた。球場に漂うまたか…という空気を、土俵際でなんとか打ち消した。

 「立ち上がりが悪いけれど、(今日も)そこで点を取られたら一緒。何かを変えるためにもゼロに抑えないと」

 オープン戦6試合で打率4割5分5厘の井口を追い込むと、外角低めに138キロのカットボールを投げきり、空振り三振。さらに4割3分8厘のルーキー井上からも空振り三振を奪い、ピンチを脱した。「一番いいアウトだった。狙って取れるピッチャーじゃないので低めに集めないと」。2回は無死二、三塁とさらなる窮地も、今度は内野ゴロ3本で無失点にしのいだ。

 どん底からはい上がった2週間で、力任せではないバランスを意識した投球にスタイルチェンジ。ツーシームを操った12日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)で5回1安打無失点と好投し光が差した。この日も投球時に頭が突っ込まないことを常に意識。ようやく、2桁勝利した08年から先発ローテを守ってきた本来の姿に戻ってきた。

 試合後、中西投手コーチは「(監督と)お互いの腹の中では決まった」と岩田の先発5枚目を決めた。シーズン初登板となる中日戦は勝敗こそ10勝8敗ながら、通算防御率1・95と得意とする相手。5枚目が濃厚だった秋山を替えてまでの任命には「絶対勝利」の条件が付く。

 和田監督は「点を取った裏を抑えることができないと、いつまでたっても負けが先行する投手のまま」とあえて厳しい言葉を発した。3点リードとなった直後の4回に2死から四球と本塁打で簡単に2点を失った。立場が変わったからこその注文だった。

 5枚ローテの最大の目的は実績ある投手でのスタートダッシュ。よみがえった左腕が、好相性も追い風に期待に応える。【松本航】