<オープン戦:阪神3-7オリックス>◇22日◇京セラドーム大阪
弾丸アーチが暗雲を吹き飛ばした。阪神福留孝介外野手(36)が、ようやくのオープン戦1号を放った。オリックス戦の7回、マエストリから右中間へ弾丸アーチをかっ飛ばした。不振に苦しんだ昨季から雪辱を期す今季。真価を問われる男が復活の兆しだ。鳥谷、西岡が故障を抱える中、通算198本塁打のアーチストに期待は高まる。
久しぶりのダイヤモンド1周でも、仏頂面のままだった。誇りがある。意地がある。福留には使命感がある。力強い打球を見せつけたのは1点を追う7回だ。先頭でマエストリと対決する。カウント3-1からの5球目、外寄り高め直球を完璧にとらえると、右中間フェンスをオーバー。今季1号ソロで同点に追いついた。主砲の存在感を示すには十分な弾道だった。それでも、冷静さを失わない。
「打った、打たないで喜ぶのじゃなく、自分のできることをやるだけ。いままでと変わりはないよ。自分のタイミングで自分のスイングをしようと思って、打席に入るだけだよ。今日はたまたま結果が出た」
阪神加入1年目だった昨季は期待外れに終わった。打率1割9分8厘、6本塁打…。5月に左膝半月板を手術し、クライマックスシリーズ広島戦で右ふくらはぎを痛めた。今季は真価を問われる1年だがオープン戦も低調。試合前まで打率1割台だった。この日は一転して昨年8月28日巨人戦(東京ドーム)以来の本塁打。5回には左翼線へ安打を放つなど2安打だ。和田監督も胸をなで下ろした。
「今日の一番の収穫だな。ずっと練習では良かったけど試合では打席によって波があった。内容が少しずつ上がっている」
同じ失敗は許されない。オープン戦で調子が上がらない福留は試合前練習で打撃投手にリクエストを出していた。「遅い球を投げてください」。フリー打撃で打ち返すのは小学生でも打てるような緩い球。この日もトップを作り、じっくり間合いをはかり、ミート。地道な練習こそ、復調の最短距離だ。中日落合GMも現役時代に取り組んだ方法でアプローチしていた。
ここにきて、福留の振るバットが短く見えるようになった。不調時はスイング軌道が遠回りし、バットが長く見えていたが、格段に鋭さを増している。関川打撃コーチも「拾える球が増えてきた。去年なら、ファウルになっていた」とうなずく。鳥谷と西岡を故障で欠いており、福留が浮上してきたのは心強い。かつての大リーガーは言う。「明日(23日)が最後。しっかりやりたい」。長く悩んできた好打者に明るい光が差し込んだ。【酒井俊作】
◆今年の福留
オフに断食を決行し、体重は5キロ減。下半身のトレーニングを取り入れ、ハワイ自主トレでは走り込んだ。沖縄・宜野座キャンプでは初日から徹底的な振り込み。初実戦の2月15日紅白戦で3打数2安打、初対外試合だった同23日のオープン戦中日戦は2打数2安打と出足は好調。だが3月に入ると4日ソフトバンク戦から18打席連続無安打と、快音が止まった。



