<巨人12-4阪神>◇28日◇東京ドーム
レジェンドが見守る開幕戦で巨人の新星が躍動した。球界の盟主は阪神との伝統の一戦で球団創設80周年の幕を開けた。4点を追う展開から追撃し、5回2死一、二塁で8番橋本到外野手(23)の右中間突破の2点適時二塁打で勝ち越した。開幕スタメンに抜てきされた新星の決勝打と坂本勇人内野手(25)の100号弾などで12得点を奪い、球団史上初となる開幕戦の先発全員安打で圧勝した。長嶋茂雄終身名誉監督らOB約200人の前で、新しい歴史を刻んだ。
橋本の名が巨人の星として刻まれた。同点の5回2死一、二塁。前夜に動画サイト「You
Tube」で凝視した阪神エース能見だった。凡退の映像でなく、中日の大島、高橋周ら左の同型が攻略している絵に食い入った。理想は浮かんでいる。後は実現するだけ。4球連続スライダーに耐え、甘い139キロ直球にバットをぶつけた。やや詰まった。「何とか抜けてくれ」。ライト福留のグラブをかすめ、右中間を抜けた。
レジェンドたちの前では名もなき男が、プロ初の開幕スタメンで決勝打。試合前のセレモニーから言い聞かせていた。「オープン戦の延長のつもりで。考えすぎず、いつも通り」。先発菅野には「打ったらおいしいもの、お願いします」と軽くおねだり。約束を守り、お立ち台で「回転ずしで」と初々しく言った。
平常心でプレーできたのも、覚悟があるからだ。10日の伊勢遠征。橋上打撃コーチに「もらったアドバイスを吸収して、どう生かすかは自分次第。結果が出なければ、責任を自分で取るのがプロ。自分のスイングをしろ」と諭された。正座で聞き、心に刻んだ。
2日後も覚悟を求められた。12日ロッテ戦で先発出場も2打席連続三振で交代。代役は内野手の藤村だった。原監督は交代を告げると同時に橋本の表情を見ていた。「ちくしょう、という顔をしていた」。橋本は「やってダメなら仕方ない」と腹をくくった。中途半端な思いは捨て、輝いた。「(ロッテ戦翌日の)『センターにだらしない人間が多い』という監督のコメントで新聞の1面を飾って悔しかった。でも言ってもらって気持ちが切り替わった」。覚悟が成功を導いた。
キャンプ中には松井臨時コーチに「左腰が下がるクセがある」と相談し「トップを深く取ればいい」と糸口をもらった。レジェンドの知恵も無形の力となった。新星橋本に中軸の坂本の100号ソロも重なり、球団創設80周年の門出を完勝で飾った。原監督は「我々が80周年の年を任せられた」。新たな星が生まれ、新しい巨人の歴史を紡いでいく。【広重竜太郎】



