<西武1-2楽天>◇28日◇西武ドーム
新エース継承へ、1歩を踏んだ。2年連続開幕投手となった楽天則本昂大投手(23)が西武打線を6安打1失点に抑え、プロ初の完投勝利を挙げた。133球、10奪三振の力投で、最少リードのまま、8回、9回のピンチを切り抜けた。昨季24勝の田中(ヤンキース)が移籍した今季、将来のエース候補にふさわしい投球だった。昨季の日本一チームが、連覇へ好スタートを切った。
則本は逃げなかった。1点リードの8回2死二、三塁。フルカウントで西武浅村へこの日最速タイ150キロの直球でファウルを奪う。続く8球目、137キロのフォークで右飛に打ち取った。「ヨシさん(佐藤投手コーチ)が来て、『110球だし行かそうと思うが、どうする?』と。行かせてくださいと言いました」と志願。田中のようにピンチで力を発揮した。
大役を告げられたのは開幕3日前の25日。「メディアを通じて先に知りました」とモヤモヤもあった。次のエースになると決意しているから、最後まで投げたかった。初の完投勝利に「去年は自分の殻を破れず、何度も途中で降りた。でも今日は完全に耐えました」と笑いながら胸を張った。
心に刻む言葉がある。昨年12月のプロスポーツ大賞授賞式。大勢の報道陣を前に田中から「則本にはやってもらわないと困る」と言われた。面と向かって褒めることのない憧れの先輩が、後継者に指名してくれた。突然のことに「努力します」としか言えなかった。それでも「内心むちゃくちゃうれしかった」とチームの柱になろうと誓った。
エースとは何か、考えて導いた答えがある。「先発は1年間で27試合投げる。それでどれだけチームが勝つか。目標はチームを20勝7敗にしたい。去年の田中さんなんて、27試合投げてチームが負けたのは1試合だけ。自分もそうなりたい」。自らの勝ち星よりもチームが負けないこと。それが役割だと言い切る。
星野監督からは「エースというのは3年やってからなんだ」と、まだ認められてはいない。それでもお立ち台で「勝利の瞬間マウンドに立てていて、最高の気分です」と笑顔がはじけた。昨季はつかめなかった開幕戦での勝利。理想像に少し、近づいた。【島根純】



