<日本ハム6-5オリックス>◇28日◇札幌ドーム
日本ハム小谷野栄一内野手(33)が、5時間を越える熱戦にピリオドを打った。引き分け寸前の延長12回1死満塁で左前へ抜ける劇的なサヨナラ打を放った。延長10回には同点適時二塁打で4打数3安打2打点の猛打賞。今季、中田の三塁コンバートで開幕スタメンが脅かされたベテランが、開幕戦で存在感を示した。
みんなが祈っていた。打った瞬間、ヒーローは右手を上げた。小谷野が満面の笑みで一塁を回り、両手でガッツポーズした。延長12回1死満塁。食らいついて左前へサヨナラ打。三塁走者の西川を始め、中田やルーキー岡らが次々と駆けよった。「いやぁ、何を打ったか覚えていない。何人か頭をたたいてきた選手がいたので、後で仕返しします」。お立ち台に上がり、ちゃめっ気たっぷりにファンの笑いを誘った。
「平成のON」が作った流れを、引き継いだ。試合序盤はオリックス金子の前に3点のビハインドも中田、大谷の活躍で振り出しに戻していた。8回は一時勝ち越しにつながる犠打を成功。10回は起死回生の同点二塁打も放った。三塁を狙った走塁はあえなくアウトとなったが「自分の足(の速さ)を考えます、今度から」とジョークで笑い飛ばした。1つでも先の塁を狙う積極性が、チームを一丸にさせていた。
今季は春季キャンプで2軍スタートだった。定位置の三塁は中田のコンバート案の影響で不確定。そんな状況でも、やれることに徹していた。「今までで、1番良いキャンプが送れたと思う。国頭はゆったりしているしね。その中で自分のやりたいこともじっくりできた」。昨オフは取得したFA権を行使せず、残留を決断した。チーム事情は意に介さず、最高の準備だけを心がけていた。
後輩への感謝も忘れない。殊勲の一打の布石として、岡の打席が参考になっていた。「(相手が)初めての投手だった。岡がスライダーを打って、詰まってもあそこ(右前)に打った。影響は大きかった」。5時間を超える長時間ゲームを終え、今日29日は午後2時開始のデーゲームが待つ。「何とか調整します。さあ、帰りましょう」。どこまでも献身的な小谷野は、今年も頼りになる存在だ。【木下大輔】



