<広島2-8阪神>◇15日◇マツダスタジアム

 阪神藤浪晋太郎投手(20)が、今季初勝利をド派手に飾った。広島との首位攻防初戦に先発。公式戦最速タイの155キロ剛球で押し、7回4安打2失点で今季3戦目で白星を手にした。打っては6回、右中間へビックリのプロ1号ソロ。20歳初登板を自ら祝った。チームは和田監督になって最長タイの6連勝。さあ、今日にも単独首位だ!

 勝利を欲する藤浪は序盤から力で押した。1回に自己最速タイの155キロをマークするなど、球威は抜群だった。課題だった終盤の7回にはカットボール中心にシフトチェンジ。7回4安打2失点の好投。3戦目での今季初白星は、単独首位も狙える重要な3連戦の初戦で奪った。20歳は笑みがこぼれた。

 藤浪

 素直にうれしい。正直ホッとしていますし、勝てない時期は苦しい時期もあったので。ただ7回104球。勝ち取ったというより勝たせてもらった。次は終盤まで投げたい。

 驚きのプロ1号も放った。6回先頭で広島九里の直球を右中間スタンドへ運んだ。逆方向への1発に「無我夢中だったので、よく覚えていません。たまたま振ったらいいように飛んでいった。芯にはしっかり当たっていました。自分でもびっくりしています」。記念球は手元に戻っておらず「いただけるならありがたいです」。キャンプ中からバットをオーダーするなど「センスはないけど打撃は好き」と話していたが、打つ方でも魅力を見せた。

 今季のテーマは「再現性」だった。いかに同じフォームで投げられるか。昨年は数球しかなかった理想のフォームを全球で求めた。「何より再現性を高めたい。球速も平均的に上がるし、コントロールもよくなる。そうすることでパフォーマンスが上がると思う」。

 前回登板した8日のDeNA戦は7回に逆転満弾を浴びた。休日だった10日には昼前に起床し、出掛けもせず試合終盤の映像を繰り返し見た。「力はあるが序盤より制球が甘くなっている」と自己分析。逆球を減らし、最後まで集中力は切らさなかった。

 12日に20歳を迎え、気持ち新たに臨んだ一戦。今季初勝利は藤浪にもチームにも大きな白星。今日の単独首位へ、流れは作った。【池本泰尚】

 ▼藤浪がプロ初本塁打を放って今季初勝利。阪神投手の本塁打は昨年5月6日能見が巨人戦で打って以来になる。藤浪は今月12日で20歳になったばかり。二刀流の大谷(日本ハム)が昨年3本塁打したが、1発を放ったのは野手と代打で出場した試合。20歳0カ月以下で本塁打を打った投手は87年桑田(巨人)が19歳3カ月の7月8日広島戦、19歳5カ月の9月1日中日戦で記録して以来となり、阪神では67年4月23日中日戦で打った18歳10カ月の江夏以来だ。これで阪神はパのオリックス、ソフトバンクと並んで10勝に到達。阪神の両リーグ10勝一番乗りは58、02年に次いで3度目。