<ヤクルト8-4巨人>◇15日◇静岡

 巨人は勝利の方程式が機能せず、逆転負けで4連敗を喫した。1点リードで迎えた7回にセドンが同点とされ、2番手としてマウンドに送ったスコット・マシソン投手(30)が押し出しを含む3四球などで4点を失った。マシソンは今季8試合で防御率12・86と、昨年までの盤石なリリーフになっていない。1番に坂本、5番に長野を置く改造打線は機能していただけに、終盤の失点はあまりに痛かった。

 マシソンは打者と勝負できなかった。同点の8回、先頭にストレートの四球。不慣れな草薙球場のマウンドでボールの制御が利かず、高めに浮いた。1死満塁で打者は畠山だった。くさいコースを突くことすらできない。立っているだけの相手に、決勝の押し出し四球を献上した。

 巨人が誇る最強の中継ぎユニット「スコット鉄太朗」の一角が揺らいでいる。マシソンは今季登板8試合で、防御率は12・86。自責点は10となり、早くも昨年を超えた。「非常にフラストレーションがたまる投球。何をやっても、うまくいかなかった。マウンドでも修正できなかった。早く名誉を挽回したい」と、深い悩みを包み隠さなかった。

 自慢の直球が寂しい。今年は空振りを奪えない。制球に苦労し、ボールを真ん中付近に集めにいくと、今度は威力がなくなる。追い込んでから見逃し三振を奪える鋭利なスライダーも、直球のデキに比例して、鳴りを潜めている。この日、飯原に打たれた右前打は直球で、その直前に投じたスライダーも、タイミングの合ったファウルにされていた。高めのつり球で空振りを奪うストレートを取り戻さないと、パワーピッチャーの今後は苦しい。

 そもそも来日3年目のマシソンに「不慣れな地方のマウンド」の決まり文句は関係ない。4連敗の原監督は「少し、自信をなくしてしまっているかな」と、きまじめな助っ人を心配した。「配置転換とか、僕の中では考えていません。(信頼は)変わりませんよ」と、よどみなく言った。「スコット鉄太朗」に代役は利かない。復調を急いでもらうしかない。復調ならなければそのまま、チームにとっての有事となる。【宮下敬至】