<オリックス3-8日本ハム>◇16日◇京セラドーム大阪

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、自己最多タイの1試合3打点を挙げた。3番・DH」で先発出場。3回の2点適時打に続き、7回にも適時三塁打を放った。代打1試合を含め、野手出場7試合連続安打をマーク。規定打席には到達していないものの、打率を3割8分9厘に上げた。チームは貯金を1とし、単独3位に浮上した。

 極意が秘められた快音を奏でた。大谷が仕留めた。プロ入り2年目で初の1試合2適時打、最多タイ3打点。3回1死満塁から左前へ先制2点打。ダメ押し点が欲しい7回1死三塁では右越え適時三塁打。右腕の岸田、左腕の海田の内角直球を、さばき切った。1回の第1打席の2球目。見逃しストライクで追い込まれ、一ゴロに倒れた。「差されていたので、どこかでまたくるかなと思っていた」。直感で読んだ配球を伏線にし、センスでねじ伏せにいった。打ち破った。

 非凡な感性が象徴されていた。3月28日からのオリックス3連戦の本拠地開幕カード。野手出場して3戦計5安打と固め打ちした。投手調整を優先し、実戦不足でシーズンインした中での離れ業。終了後、岡本スコアラーが極意を探った。視覚の置き方を聞いてみたという。大谷から仰天の答えが返ってきた。「ここを見て、打っています」。白球を4分割する。自分から見て円周22・9~23・5センチと定められているボール。その「内側」で、しかもピンポイントで「下側」にも焦点を合わせているとの独自の視点を明かした。

 この日の3回の1本目。厳しい内角低め139キロ直球をフルスイングした。力負けを嫌いボールの「内側」、角度も付く「下側」を捉えようとする豪快な意識。差し込まれながらもファウルにならず、ゴロではなくライナーで左前へ弾ませた。7回の2本目は内角高め直球を振り抜いた。「(犠飛狙いで)外野フライしか狙っていなかった」。スタンドインは逃したが、右手1本でのフォロースルーで、バットに乗せた。右中間へスラッガー特有の放物線を描いた。「さすがにボールが止まって見えたことはない」そうだが、天性のセンスが源流の特異の打者観。一流レベルのスイング速度とシンクロすることが、大仕事連発のバックボーンになっている。

 今季野手で代打1試合を除き、スタメンでは8試合目。5度目のマルチ(複数)安打と進化を証明している。今日17日の同戦は、次回先発登板予定の20日楽天戦(コボスタ宮城)に備えるため野手での出場は微妙。限られた打席の中で二刀流に挑む根拠を、パフォーマンスで証明していく。【高山通史】

 ▼大谷が2安打3打点の活躍で、出場の連続試合安打を「7」に伸ばした。今季、野手としては9試合(代打1試合含む)に出場。無安打に終わったのは開幕2戦目の3月29日オリックス戦(札幌ドーム)だけで、ほかの8試合はすべて安打を放っている。マルチ(複数)安打は猛打賞1度を含め早くも5度目。