<オリックス7-5日本ハム>◇17日◇ほっともっと神戸

 一塁ベースを蹴って、オリックスの4番ウィリー・モー・ペーニャ外野手(32)が右手を突き上げた。打球は右翼席に着弾。1点を追う5回裏。日本ハム谷元の外角直球を逆らわずにとらえた。「自分に回ってきて打てたのは本当にうれしい」。リーグトップの座を守る逆転の8号3ランだ。

 確率で言えば、本塁打は一番可能性の低い結果だった。今季は左投手に対し、打率4割8分と強いが、右投手は打率1割2分5厘で本塁打ゼロ。嫌なデータは本人も分かっていた。「そういう話は出ていたが、いずれ右からも出るという気持ちで対戦していた。やっと打てたね」。数字の呪縛から解放され、表情は柔らかかった。

 ペーニャや糸井が開幕前に負傷し、新戦力ベタンコートが合流したのは3月初旬。打線の形が見えず、4番でさえも日替わりになる可能性があった。そんなフレックスな状況でペーニャの快進撃は、チームに安定をもたらした。2日楽天戦から4番に固定。さらにペーニャが本塁打を打てば、5連勝というデータも加わった。

 「みんなが勝利に貢献した。今日は今日で終わりだ。目の前の敵を倒したい」

 開幕から17戦8発。年間67本ペースだ。バレンティン超えという気の早い質問にも「そういうことを考えてプレーすることはない。チームの勝利に貢献することを積み重ねたい」。騒がしい周囲を制し、次戦をにらんだ。【田口真一郎】