<巨人2-7中日>◇19日◇東京ドーム

 ヒーローは41歳のパパだった。恐怖の6番、中日和田一浩外野手が同点弾に延長V打と勝負強く暴れた。延長11回1死二、三塁から巨人西村のフォークをつかまえた。「どうしても打たなければいけない状況だった。ゴロになったんで飛んだところが良かった」。打球は三遊間を抜けて、三塁走者が本塁を駆け抜けた。

 2回には左翼線に二塁打を放ち、7回には5号同点2ランを左翼席に突き刺した。3安打3打点で今季初の猛打賞。6回にはバックスクリーン左に飛び込んだ坂本の打球を、観客の手に当たってスタンドインしたとアピール。結局、ビデオ審議で二塁打になった。ベテランの冷静な目が、試合の流れを変えた。

 打ちたい理由があった。この日は三男の4歳の誕生日だった。「嫁さんには言われていたからね。良かった。でも、もう寝てるんじゃないかな」。4歳のお祝いに「4打点」とはいかなかったが、十分ハッピーなプレゼントだった。

 苦手にしていた敵地での連敗も5でストップ。打線は10安打7得点とナゴヤドームでの元気を取り戻し、粘り腰で王者を寄り切った。それでも谷繁兼任監督の表情は崩れない。「チーム全体で粘れるようになってきた。うちはそうやって全員でやらないといけない」。誰がヒーローかという問いにも「すべて大きい。誰がということはない」。浮かれた様子のない目は、今日の第3戦に向いていた。【桝井聡】