ワイルドで献身的な剛腕が、救世主の予感を漂わせた。日本ハムの新外国人アンソニー・カーター投手(28=パドレス3A)が22日に電撃来日した。ソフトバンク戦前に東京ドームで、栗山英樹監督(52)とともに入団会見に出席。勝利の方程式に加わってもおかしくない実績の持ち主だが働き場所は選ばず、チーム貢献を宣言。強力な中継ぎ陣形成への一角を担う右腕が、まずは優等生ぶりを見せた。

 期待の新戦力のカーターが、野性味あふれる姿で現れた。3週間前から伸ばす、もみあげから口、あごまでつながる立派なヒゲを蓄えて登場。がむしゃらにチャンスをつかむ決意を明かした。「チームから求められるものに応えたい」。昨季はレッドソックス3Aで守護神を務め、2勝0敗24セーブ。それでも日本で成功するため、ポジションはこだわらない。中継ぎで起用される方針で「クローザーでなくてもチームに貢献したいね」と意気込んだ。

 人生初の海外生活は順調なスタートを切った。「アメリカを出たのが初めてなんだ。これから少しずつ慣れていきたいね」。21日に契約合意が発表され、翌日のこの日午前中に羽田空港着の便で来日。未知の異国に多少の不安があったが、球場で顔を合わせた新たなチームメートが振り払ってくれた。「みんな歓迎してくれた。いいスタッフ、コーチ、選手に支えられていると思ったよ」。ヒゲの下に隠れた口角を上げ、満面の笑みを見せた。

 195センチの長身右腕は150キロ超えの直球とスライダーが武器だ。今季終了までの契約で推定年俸は4000万円。球団は昨オフから獲得を目指し、動向を追いかけてきた。栗山監督は「今回、タイミングよく取れてよかった。力で打者をやっつけてくれ」とパワー投球で日本の打者を牛耳ることを期待した。新助っ人も「攻撃的に打者を攻めたいね」。ヒゲと同様にワイルドな投球スタイルを見せることを誓った。【木下大輔】

 ◆アンソニー・カーター

 1986年4月4日、米ジョージア州生まれ。ジョージア・ペリメター大から05年ドラフト26巡目でホワイトソックスに入団。13年にレッドソックス、14年にパドレスへ移籍。メジャー経験はないが、マイナーでは通算270試合に登板し、37勝37敗56セーブ、防御率4・59。195センチ、98キロ。右投げ右打ち。