<中日0-3阪神>◇24日◇ナゴヤドーム

 負けない捕手の真骨頂だ。ルーキー岩崎と初コンビを組んだ36歳阪神鶴岡一成捕手にはプロ19年目の嗅覚があった。先制直後の6回裏に同点ピンチを招いた。無死一、二塁で打席に4番平田。「1発は怖かったけどキレのある球を投げていたので」。初球に低めシンカーをファウルさせ続けて内角直球。内角高めのつり球で構えた3球目は、ミットよりやや低い位置へズバッと決まり、見逃し三振に仕留めた。

 新加入で先発マスクのゲームは6戦全勝の勝率10割だ。初めて組んだ岩崎を「球持ちがいいから差し込まれるんじゃないですか」と分析。内角を厳しく攻めながら緩急をうまく使い、2度目の対戦だった中日を惑わせた。7回2死一塁では、変化球にもかかわらず素早い処理とストライク送球で松井雅の盗塁を阻止。肩でも救った。

 「走攻」でも光った。無安打だった5回2死から、三塁後方へポトリと落とした。迷うことなく一塁を蹴り二塁へ滑り込んだ。「ヒットになるかは分からなかったけど、下を向いて全力で走っただけです」。ベテランの泥臭い一打と懸命な走りが、沈黙の猛虎打線をたたき起こした。

 和田監督も絶賛した。「テンポも良かったし、波長が合ってたね。低めでゴロを打たせといて思い切り突っ込むし、メリハリつけてたね」。若き殿を、14歳上のええ女房が2勝目へ導いた。【近間康隆】