<巨人5-4ヤクルト>◇29日◇東京ドーム

 巨人鈴木尚広外野手(36)が史上72人目の通算200盗塁を決めた。9回、同点打のアンダーソンに代わって一塁へ。初球の二盗は、激走も、スライディングもない静かなるスチール。1死二、三塁として村田のサヨナラ打をお膳立てした。併殺打のリスクを一切排し、一気に試合を決める。静かでも、ベンチの思惑に応える価値ある盗塁だった。「ファーストがかなり離れていたし、けん制はないと思った。毎試合、準備して臨んでいた。数を重ねてきただけ。そこまで特別な意識はないですよ」と仕事人らしく振り返った。

 原監督は誇らしげだった。第1次政権就任直後から、その走力に着目し重用してきた。「18歳の時よりも強くて、速い。進化している。いつもいち早く球場に来て、ストレッチやウエートをしている。取り組みがすごい。尊敬に値する選手」と、わが事のように喜んだ。侍ジャパンを率いた09年のWBCで、最後の最後までメンバーに入れるか悩んだ。盗塁の多くを、失敗が許されない代走で決めるスペシャリストに最高の言葉を並べた。

 「今日は頑張っている菅野が勝てて良かった」と鈴木。自分を傍らに置き、貫く自己犠牲の精神。だから一層「200」が際立つ。【栗田尚樹】

 ▼通算200盗塁=鈴木(巨人)

 29日のヤクルト4回戦(東京ドーム)の9回に二盗を決めて達成。プロ野球72人目。初盗塁は02年4月14日の中日5回戦(東京ドーム)。鈴木は盗塁死が44度で成功率8割2分。盗塁死が正式記録に採用された42年以降、通算200盗塁以上の選手では広瀬(南海)の8割2分9厘に次いで2番目に高い成功率をマークしている。