<ヤクルト4-4日本ハム>◇28日◇神宮

 5時間13分の引き分けを演出したのは、ヤクルト雄平外野手(29)のバットだった。“二刀流”の先輩が、大谷の白星を消した。1点ビハインドの8回、先頭でカウント2-0からの3球目、真ん中に入った139キロ直球を右中間席中段まで運ぶ初の2ケタ10号同点ソロ。これで勝利投手の権利を奪った。

 大谷にも痛烈な1発を浴びせた。1点リードの4回先頭。初球の152キロ速球が真ん中に入ってくるとフルスイング。逆方向の左翼席に9号ソロをたたき込んだ。「すべて速いんで。負けないように。振り遅れたけど、しっかり押し込むことができた」。

 09年オフに投手から野手に転向した。7年間で18勝を挙げた投手への未練はあった。10、11年の2年間は1軍出場なし。昨年はレギュラーの座をつかみかけた4月、右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂してシーズンを棒に振った。今季は開幕からスタメンで、5月は月間MVP候補にも挙がっている。

 同時に投手と野手はやっていないが、いわば両刀の先輩だ。それでも大谷のことは「別次元」と表現していた。「(投打)両方とも入団したときからすごい。別次元。どっちがスゴイか…。160キロを投げる人はあまりいないからね。でも打つ方もとんでもないバッティングをする」と、最大限の賛辞を贈っていた。その大谷から打った1発は、打者としての飛躍を示すものだった。

 速球対策も万全だった。22日の西武戦前から神宮室内にあるマシンの速度が、通常より15キロほど速く145キロに設定された。真中打撃コーチは「パ・リーグの投手は先発も中継ぎも球が速い。マシンだと10キロぐらい速く感じる」と説明。体感では155キロレベルで大谷の速度に匹敵する。交流戦に入っても、雄平を筆頭にヤクルト打線の破壊力は衰えを知らない。【矢後洋一】