日本人最速はオレだ!

 昨年4月に右肩のクリーニング手術を受けてリハビリ中のヤクルト由規投手(24)が5日、埼玉・戸田球場で打撃投手を務めた。打者への投球は、12年4月13日の富士重工業との練習試合以来、783日ぶり。長いリハビリもようやく最終段階に入り「打者に投げると勝手に力も入るしバランスも崩しがちだけど、思ったより良かった。楽しかった」と笑顔を見せた。

 かつて日本中を沸かせた剛腕は、さびついていなかった。41球中で33球目。途中から計測しだしたスピードガンが「146キロ」を示すと、周囲がどよめいた。相手が若手の又野と川上だったとはいえ、球種を知らせていても、バットは詰まり、空を切った。石井投手コーチは「計測前の球は150キロぐらい出ていたと思う」と驚いたが、由規は「今の段階でそれぐらい出たら自信になる。でも試合になったらもっと上がってくると思う」と冷静だった。

 戻りたい領域は「150キロ台」ではない。前日、日本ハム大谷が160キロを出した瞬間をテレビで見た。「すごかったですね。(自分が抜かれるのも)時間の問題だなって思いました」と苦笑いする一方、本能がうずいた。「影響がないと言えばうそになる。刺激にもなる。スピードを出すのが目標じゃないけどファンの方も期待していると思うし、負けないように頑張りたい」。大谷の存在も新たなモチベーションになる。

 2年間も実戦から遠ざかっているだけに、この日の投球による体への反動を確認してから、実戦復帰まで慎重に進めていく。それでも由規は「波がありながらも、ここまで来られた。確実に試合に近づいている」と、かみしめるように言った。焦らず、1歩ずつ。剛腕復活の長い物語は、最終章を迎えた。【浜本卓也】

 ◆由規の右肩のリハビリ経緯

 11年9月3日の巨人戦(神宮)後、右肩に張りを訴えた。その後は2軍で調整していたが痛みは治まらず、12年は登板ゼロ。13年年4月に右肩のクリーニング手術。今年1月5日、座った捕手相手への投球練習を再開。球数を徐々に増やしながら、ブルペン投球を重ねてきていた。