<広島5-16ソフトバンク>◇7日◇マツダスタジアム

 ソフトバンクが2回まで11得点の猛攻で大勝した。1番中村晃外野手(24)がプロ初5安打で引っ張り、21安打16得点とも今季チーム最多。広島の注目ルーキー大瀬良をプロ最短KOに追い込んだ。3戦連続2桁得点はダイエー時代の04年6月以来で、現球団名に変更後は初。好調な打線を軸に4連勝を飾った。

 広島に攻撃させる前に勝負を決めた。ソフトバンクは1回にいきなり7者連続得点。打者11人の猛攻は30分間も続いた。

 7年目のリードオフマン中村が火付け役となった。1日ヤクルト戦で打球が顔面に当たって打撲。腫れが引いた目の周りはまだ黒く歌舞伎役者のよう。“舞台”に上がれば主役級の働きだ。1回先頭で右前打。その後李大浩、松田、本多の適時打で4点目を奪うと、2打席目は2死満塁から外角直球をコンパクトに振った。右から左への風にも乗り、左翼岩本の頭上をオーバー。大勢を決する走者一掃の二塁打となった。

 「初回からしっかり集中した結果。いい仕事ができた。逆方向に強い打球が打てたのが良かった」。3打席目からは流し打ちのヒットパレードだ。2回は左前打で早くも猛打賞を完成。7回は左中間二塁打、9回は左前打を追加した。

 昨季の3割打者は交流戦前までスイングに不満を抱いていた。昨季は左翼方向への安打が35%で最多だった。今季は試合前まで右方向が39%と最多で、左へは22%だけ。「それは調子が悪いから。球を引きつけられていないから、ライトにしか打ててないんです」。気分転換に同い年の嘉弥真らとよく食事に行くが、そんな席でも話題はもっぱら野球。真面目な性格だけに理想も高いが、思うようなスイングを描き始めて打率3割に回復させた。

 初対戦の大瀬良を打ち砕き、広島にシーズン4戦全勝は交流戦10年目で初めて。今季3度目の先発全員安打、さらに先発全員得点をマークし、5戦連続2桁安打と勢いが止まらない。右臀部(でんぶ)痛で離脱中の内川も含め、3割打者が5人もいる強力打線。交流戦のチーム打率を3割に乗せた。「良かったね。いい流れでいけて良かった。いい感じ」。試合中はさぞ左うちわだった秋山監督は、上機嫌でタクシーに乗り込んだ。【大池和幸】