<阪神0-6ソフトバンク>◇9日◇甲子園

 古巣に感謝、そして意地の完封劇だ。ソフトバンクのジェイソン・スタンリッジ投手(35)が昨年まで4年間在籍した阪神戦に初登板。痛快な3安打完封劇で旧友メッセンジャーとの投げ合いを制した。中田と並ぶチームトップタイの6勝目で、交流戦首位浮上に導いた。

 ヒーローインタビューを受けるスタンリッジに、阪神ファンの声が注がれた。「ジェイソン、戻ってきてよ~」。古巣相手に初登板で今季チーム初完封。復帰を願う“ラブコール”を耳にして「そう言われるのはうれしいね」と照れ笑いを浮かべた。過去4年間で44試合も上がった甲子園のマウンド。かつてのチームメートに立ちふさがった。

 「今日もホームのつもりで投げた。阪神の応援歌は知っていたので、親しみがあった。去年まではベンチにいるときに流れていたので、マウンドの上だと変な感じだったけど…。大好きな球場だし、楽しかった。完封は最高だし、気持ち良かったね」

 4回に2四球で1死一、二塁もゴメス、そして友人のマートンをカットボールで連続三振。「あそこをしのげたから最後までいけた」。虎の中軸を無安打に抑え、散発3安打。完封は昨年8月2日巨人戦以来だが、甲子園では3年ぶりだった。

 投げ終えると「いろんな感情があった。プライドとプライドの戦いだった」と正直につぶやいた。「去年阪神から(残留)オファーをもらえなかったので、やっつけなきゃという気持ちもあった」。さらに感謝の気持ちも込めた。「阪神にいなければ今の自分はなかった。阪神のおかげでいい投手、いい人間に成長させてもらったからね」。懐かしさ、意地、恩返し…。さまざまな思いが詰まった128球だった。

 「全体的には楽しめたよ。今は新しいチームメートがいるし、新しいファンのためにも頑張りたい」。4連勝の今季6勝目で、12年グライシンガーに続く外国人2人目の12球団勝利を達成。交流戦3勝は西武岸、楽天則本と並んでトップとなった。防御率2点台と安定感は抜群。存在感が日増しに大きくなってきた。【大池和幸】

 ▼スタンリッジが阪神在籍の13年8月2日巨人戦(東京ドーム)以来の完封で6勝目。今季チームでは初の完封勝利投手となった。スタンリッジは阪神戦初勝利で、現12球団すべてから白星を達成。セ、パ12球団となった58年以降、全球団勝利は16人目となり、外国人投手では12年グライシンガー(ロッテ)に次いで2人目だ。昨年まで全球団勝利は12人だったが、今年は4月15日涌井(ロッテ)同16日寺原(ソフトバンク)同26日大竹(巨人)そしてスタンリッジと一気に4人が達成した。