<DeNA0-10楽天>◇9日◇郡山

 楽天則本昂大投手(23)が「キューバの至宝」を封じ、4度目の完封でチームの連敗を4で止めた。キューバを代表する強打者、DeNAグリエルとの注目対決は、全打席で走者を背負って迎えたが、4打数無安打2三振と完璧に抑え込んだ。5安打無四球、10奪三振で7勝目。4完封は12球団単独トップで、頼れる2年目右腕が苦境に立つチームを救った。

 最終回のマウンドも望んで上がった。9回に3点を加え10-0。大量リードに首脳陣から交代を打診されたが、則本は首を横に振った。4連敗を止める使命感にあふれていた。続投志願の理由を「こういう時に自分で(連敗を)止められる選手になりたいと思っているので」とキッパリ言った。DeNA先頭石川に中前打を打たれたが、続くグリエルを見逃し三振。ブランコ、筒香には外野フライを打たせた。駆け寄ってきた嶋と喜び合った。

 グリエルを、どう封じるか。相手のデビュー戦となった前日8日の映像を食い入るように見た。味方投手が3安打を浴びていた。一方で「初対戦は相手も一緒。あまり気にせず、反応を見て考えたい」とも言った。その言葉どおり、完勝の裏にはバッテリーの洞察力があった。

 3度目の勝負となった6回1死二塁。2球で追い込み、最後は外に逃げるスライダーを振らせ3球三振を奪った。一見すれば、文句なし。だが「追い込まれてからはスライダーを待っている感じ。紙一重だった」と冷静だった。反省を踏まえた9回無死一塁。初球で、グリエルに対し初めてカーブを投げた。低めに落とし込み空を切らせる。カウント1-2から最後はインハイ直球で見逃し三振を奪った。スライダーは1球も投げなかった。「嶋さんと話し合って。作戦通りにできました」と胸を張った。

 連敗を止めたが、チームの借金は11もある。「苦しい状況だけど一戦必勝、全員で勝っていきたい」。12球団トップの4完封を挙げた今、則本の言葉は頼もしかった。【古川真弥】

 ▼則本が5月22日DeNA戦、同28日巨人戦に次いで交流戦3度目の完封勝ち。交流戦のシーズン3完封は11年ダルビッシュ(日本ハム)に並ぶ最多タイ。今季交流戦の防御率は0・26になり、11年ダルビッシュの最高記録0・21を更新できるか。楽天投手のシーズン4完封は11年田中(6完封)以来2度目で、球宴前に4完封は球団史上初。