<西武3-2阪神>◇14日◇西武ドーム

 セ界新記録でも笑えないなんて…。阪神能見篤史投手(35)が西武戦で10三振を奪い、並んでいた71年阪神江夏らを超え、セ・リーグ新の5試合連続2桁奪三振を記録した。ただ、6回5安打3失点も負け投手となり5敗目。リーグ新記録を樹立した5試合でわずか1勝だけ。奪三振ラッシュも報われず、チームは再び貯金消滅のピンチを迎えた。

 笑顔も満足もなかった。能見はリーグ新記録樹立の瞬間も、うつむいたままだった。6回2死一塁から木村をフォークで空振り三振に。2回、直球で逆転2ランを浴びた相手に同じコースから落とし、5戦連続2桁奪三振だ。セ界で誰も足を踏み入れたことのない域に入ったが、この三振を最後にマウンドを降りた。6回5安打3失点。10奪三振にも無表情だった。

 「負けたので。記録のためにやっているわけじゃない。なんとも思いません」

 主導権を握れなかった。リリースポイントに微妙な狂いが生じた。中盤にかけて修正したが、痛恨の失点は同点に追いついた直後の6回。先頭渡辺に中前安打され、暴投で二進を許した。1死二塁から中村に勝ち越し適時打を浴びた。

 「点を取ってもらった後なので。マウンドに対応できなかった。傾斜が感じられないような感じだった」

 5敗目を喫し反省の言葉ばかりが口をついた。だが投球術の高さをみせつけた一戦でもある。ここ5戦は決して絶好調ではない。中西投手コーチの試合後のコメントも、5戦中3戦が「よくはなかった」というもの。この日も「よくなかった。でもコンビネーションで粘り強く投げていた」と評価したのは投球術だった。

 調子がよくないからこそ、球威に頼ることなく、相手打者の傾向、狙い球を感じとり、安全にアウトが取れる三振を選択する。その象徴は、自己最多タイの13Kを奪った5月24日ソフトバンク戦で「前に飛んだら全部ヒット(にされる感じ)だった」と言う。この日10Kのうち3球三振は3つ。藤井とのバッテリーで相手の裏を読み、抜群の制球力をみせつけた。

 次戦はプロ野球記録に並ぶ6戦連続2桁奪三振がかかる。勝たねば笑顔は戻らない。エースは記録に目もくれず、またゆっくりと振りかぶる。【池本泰尚】

 ▼能見が5月16日DeNA戦から5試合連続2ケタ奪三振をマーク。連続2ケタ奪三振のプロ野球記録は91年野茂(近鉄)の6試合で、5試合以上は10年ダルビッシュ(日本ハム)以来4人、6度目。セ・リーグでは71年江夏(阪神)ら3人の4試合を上回る新記録で、左腕としては09年杉内(ソフトバンク)に並び最多となった。この5試合の能見は●○--●の1勝2敗。91年野茂が●●○○●●の2勝4敗と負け越したが、5試合以上連続中に1勝だけは能見が初めてだ。今季の2ケタ奪三振は両リーグで24度目。能見以外の投手は19度で16勝なのに、能見は5度で1勝と力投が白星につながらない。