<楽天2-3巨人>◇15日◇コボスタ宮城

 巨人坂本勇人内野手(25)が、逆転の2点適時打を放ち、今季初の6連勝をたぐり寄せた。1点を追う9回無死二、三塁、直球を中前にはじき返し、土壇場で天敵則本の牙城を崩した。決勝打は8日のロッテ戦(東京ドーム)以来、今季5度目で阿部に並びチームトップ。チャンスに無類の強さを誇る男が、本領を発揮した。

 嗅覚と技術を一振りに込めた。9回無死二、三塁、フルカウント。坂本は外角の直球に、短く持ったバットをコンパクトに出した。鋭く中前へ抜け、逆転の2点適時打。沸き立つベンチにホッとした表情で戻った。6球目に内角を厳しく突っ込まれ、「もう来ないかな」と外角に絞って、「スライダーで来るかなと思いながらのバッティング」でセンターに返した。

 今季5度目の決勝打は、阿部に並びチームトップに立った。それでも口から出たのは意外な言葉だった。「久しく、こういう場面で打てていなかったので、いい場面で打てて良かったです」。記録以上に、記憶に刻む一打を欲する男の境地だった。相手は5月に3安打完封された則本。交流戦で巨人が同一投手にシーズン2度の完封を喫した歴史はなく、土壇場で屈辱を阻止した。

 アクシデントも、笑いに変える強さが、好結果を呼び込む。4日のソフトバンク戦で送球が鼻に直撃。鼻骨骨折と診断された。「大丈夫ですか?」。後輩の宮国からだった。「大丈夫や。鼻が高くなって、ちょうど良かったわ」と返信。「良かったです」と安心する宮国に「そんなわけあるか」とノリツッコミで返した。常に前を向き、力に変える姿勢がチャンスでの無類の強さを支える。

 原監督は「ジャイアンツ全員の意地が、いい形として出てくれた」と目を細めた。チームは今季初の6連勝で、交流戦の単独首位に立った。明日17日からは2位オリックスとの首位攻防戦を迎える。「チームとして目標にしていますし、優勝できるように頑張りたいです」。坂本の誓いを、現実に変える。【久保賢吾】

 ▼巨人が今季初の6連勝。巨人の交流戦6連勝以上は07年6連勝、12年7連勝に次いで3度目。この日は3-2で勝利し、これで交流戦に入ってからの1点差試合は○○○○○○○の7勝0敗。交流戦では接戦をすべてものにし、単独首位に立っている。