<中日9-2ロッテ>◇22日◇ナゴヤドーム

 中日が今季最多タイの16安打で9点を奪う快勝で交流戦を締めた。同点の3回に開幕2軍だった藤井淳志外野手(33)が勝ち越し打を放ち、7年目谷哲也内野手(28)のプロ初打点となる適時打などで一挙4得点。スタメン起用した脇役勢の大活躍に、谷繁兼任監督も会心の笑顔だ。交流戦を13勝10敗1分けで終え、3位阪神に1ゲーム差。27日に再開するリーグ戦でのいきなりの直接対決(甲子園)が楽しみだ。

 ナゴヤドームが強竜祭りと化した。今季最多タイの16安打で9得点。主役を奪ったのは脇役たちだった。同点の3回2死三塁。2軍暮らしが続いた9年目藤井が石川から勝ち越しの左前打を放つと、谷がプロ7年目で初打点となるタイムリー。苦労人が2死から紡いだ1本1本が一挙4得点を呼び勝利を決定づけた。

 藤井

 必死でした。ヒットを打つのはここだと気合入れて打席に入ったので。

 筑波大出身の国立の星は昨季終盤、大島から中堅の定位置を奪った。今季は不振で故障以外では初の開幕2軍。そんな時、佐伯2軍監督のもと、足りないと自覚したのは「考える野球」だった。自分以外の選手への配球などを猛勉強するようになって開眼。6月中旬に昇格し、17日に初スタメンを任されからの4試合は打率4割の大暴れだ。

 一緒にお立ち台に上がったのは谷だった。3月10日、広島での広島との練習試合。ともに結果を出せず、1軍の福岡行きではなく、悔し涙で2軍神戸行きの新幹線に乗った戦友がプロ初打点で勝利を彩った。

 藤井

 その時一緒に頑張ってやろうと言い合った仲間。本当によかったです。

 谷

 7年かかったけどうれしかった。ダメならユニホームを脱ぐ覚悟。でも子どもが野球やってる姿が分かるまで頑張りたいので。

 鳴門工で甲子園準優勝に輝いた徳島の星も、1軍の壁に跳ね返され続けた。今年2月に第1子の長男が誕生。早出を欠かさず、よりがむしゃらに野球に取り組むようになった。課題の打力も磨き打率は3割3分3厘。少ない出番を生かし攻守に進化中だ。

 今後の定位置争いにも刺激を与えた2人の大活躍に、谷繁兼任監督も「流れを引き寄せてくれた。本人たちが必死にやっている結果」と目を細めた。交流戦は13勝10敗1分けで借金を2に減らし、3位阪神へ1ゲーム差に肉薄。27日に再開するリーグ戦の直接対決に弾みがついた。「全員で締め直してやっていきたい」。借金完済&Aクラス奪取へ、さあ虎退治だ。【松井清員】