<巨人5-0阪神>◇12日◇東京ドーム

 阪神能見篤史投手(35)がマウンドに戻ってきた。6回、阿部のタイムリーで2点目を奪われ、なおも1死満塁。最大のピンチを迎えたが、踏ん張った。矢野を遊ゴロ、橋本の代打アンダーソンを二ゴロ。低めへの制球力で相手にフルスイングさせずに切り抜けた。能見らしい冷静さと切れ味だった。

 「よかったですね。疲れも取れていたんで。しっかり粘れた。こういう投球をしていけば、今後につながる。最近、ゲームを壊してばかりだったので…」

 1回に長野にタイムリーを浴びるなど、敗れはしたが6回7安打2失点、92球の粘投だった。6月29日の中日戦で3回途中9失点後に左脇腹痛を訴えてリタイアした。あれから中12日。猛虎を支える左腕は本来のキレを取り戻していた。巨人の前に立ちはだかってきた能見と、プライドにかけて攻略しようとする王者とが水面下で火花を散らした。巨人打線はこの日もことごとく能見のフォークを見逃した。奪三振マシンの決め球にまったく反応しないのだ。

 「気味が悪かった。嫌な感じはありましたね…」

 開幕戦で10失点した時にも見られた傾向は、この日も同じだった。戦前に察知していた阪神バッテリーも速球、スライダー主体の組み立てで対抗したが、1イニング1個近い確率で三振を奪う能見の三振数が「0」だったことからも、いかに巨人打線の反応が顕著だったかがわかる。中西投手コーチはクセを見抜かれている可能性を指摘した。

 「フォークを見極められていたな。クセ?

 出ているかもしれない。チェンジアップには手を出していた。低め(の球)を捨てているなら、チェンジアップにも手を出さないはず」

 もちろん、能見と阪神ベンチも黙っているはずがない。球宴明けの21日から甲子園での巨人戦が控える。戦列復帰したGキラーと王者とのあくなき戦いは、新たな局面へと突入していく。【鈴木忠平】