<巨人4-6阪神>◇13日◇東京ドーム

 巨人沢村拓一投手(26)にとって魔の7回になった。今季2度目の先発も、今季初勝利をマークした前回(6日)と同様で安定していた。マウンドにガシッと打ち込む左足が方向指示器の役割も果たし、制球と球威を両立させた。最速153キロの直球をストライク先行で制御し、6回まで被安打4の1失点。阪神打線を封じていった。

 100球を超えた7回に暗転した。立ち上がりから飛ばし、緩やかに球威が落ちるのは自然だった。が、下支えしていたコントロールの精度も落ちた。2死一、二塁で上本に回った。1-2と追い込みながら、直球、抜けたスライダー、抜けたスライダーと3球ボール。満塁になった。

 変化球打ちが巧みな関本に対し、真っすぐ系で押した。上本に対してのスライダーの抜け方から見ても、武器で突破、は妥当な青写真だった。ただ抑えが利かなかった。タイミングの合ったファウルの直後、123球目。シュート回転した真ん中高め145キロを、アッパースイングで運ばれた。「絶対ホームランはいけないところで、打たれる甘さ。どれだけナイスピッチングしていても、意味がない。迷惑をかけてしまった」と悔いた。

 塁が埋まり、腰掛けていた原監督の体が左右に揺れた。腰は上げず、局面を任せた。「満塁にしたところの四球を含め、反省はある。もうひと踏ん張り。乗り越えるところ」と話した。7回完了を先発の務めとして設定している。続投の親心に、次回登板で応えるだけだ。【宮下敬至】