<中日1-8阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

 中日が藤浪に力負けし、前半戦の貯金ターンが消滅した。工藤と高橋周を今季初めて先発起用するなど左6人を並べたが13三振を喫し、敵失の1点が精いっぱい。右肘痛で抹消のルナは今季藤浪に打率5割7分1厘、右脇腹痛で欠場の大島は4割だっただけに、飛車角落ちの大きさが際立った。16日は前半戦最終戦。勝って5割に戻し後半逆襲に望みをつなげたい。

 最後の打者武山のバットもあえなく空を切った。プロ初完投でガッツポーズの藤浪に、竜戦士は寂しく背を向けるしかなかった。2戦連続8得点と好調だった打線が5安打、敵失の1点だけで13三振。軸となる最速154キロの真っすぐに、フォークやカーブを織り交ぜられての力負けだった。

 谷繁元信兼任監督(43)は「相手どうのこうのという試合ではない。初回の3点がね。最後まで諦めないのは絶対だけど、そう簡単には(点は)取れない」と先発雄太の失点パターンを厳しく指摘した。だが、右肘痛で抹消されたルナと右脇腹痛で欠場した大島の穴を痛感する敗戦でもあった。

 ルナは今季藤浪に7打数4安打3四球で打率5割7分1厘。大島は10打数4安打の4割と、他の打者が抑え込まれる中で突出した好相性だった。急きょ、代役三塁の高橋周と代役中堅の工藤を今季初スタメンで起用するなど左を6人並べたが、突破口は開けず。初昇格させた左の代打ゴメスも不発で、藤浪に見下ろされるように凡打の山を築いた。

 あらためて2人の1日も早い復帰が待たれる。大島は後半戦が再開する21日DeNA戦(横浜)からスタメン出場できる見込みとなった。ルナはこの日、名古屋市内でMRI検査を受診。「球宴明けには戻りたい」と最短10日となる25日巨人戦(ナゴヤドーム)からの復帰に意欲を見せた。だが2人の患部はデリケートな場所。再発の危険性も含め、復帰は慎重に判断せざるを得ない。

 この日の敗戦で再び借金生活に戻り、球宴前の貯金ターンが消滅した。“飛車角落ち”の苦しい状況の中、今日16日に前半最終戦。「いるメンバーで戦うしかない?」と問われた指揮官は、力強くうなづいた。勝てば5割で負ければ借金2。後半戦の逆襲に弾みをつけるためにも、一丸になって勝利をつかみ取りたい。【松井清員】