<中日1-8阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

 戦況を見守る阪神藤浪の心の荷はストンと軽くなった。悩める若き剛腕に頼もしい援護射撃だ。鳥谷敬内野手(33)がプレーボール直後のナゴヤドームに、乾いた衝撃音を響かせた。1回無死一、二塁。左腕雄太との対戦で、カウント2-2からの6球目だ。内角直球を豪快に引っ張ると、白球は高々と舞ってバックスクリーン右に着弾。6号3ランで、理想的な先取点を奪った。

 鳥谷

 チャンスなので、どんどん振っていこうと思いました。つないでいこうと打席に入りましたが、たまたまホームランになってくれました。先制できて良かった。勝てて良かった。

 ナゴヤドームでは09年8月5日、朝倉から放って以来、5年ぶりのアーチだった。自身の鬼門を打ち破っただけでなく、チームにとっても中日戦の連敗(1分け挟む)を5で止める白星を呼び込む一打。これで10年連続100安打に到達。阪神在籍選手では、12年連続3桁安打の藤田平、和田豊には及ばないが、真弓明信らと並ぶ3位タイの長さだ。今季は1500安打も達成。長く第一線で活躍し続ける男の勲章がまた1つ増えた。今季はここまで自己最多タイの173安打ペースで、自己記録更新も十分に可能だろう。

 誰よりも妥協せず、ひねる力を蓄えてきた。阪神はトレーニング機器で筒状のバイパー(ViPR)を導入。足で踏ん張りながら、腰回りをひねる動きなどで肉体を強化するもので、大半が通常6、8キロのタイプを用いる。だが、鳥谷は違う。オフになると、クラブハウスで“最重量級”の20キロを使って体を鍛え抜いている。土屋トレーナーも「シーズン中はほとんどやらない。普通とは違うトレーニングになります」と説明。重い分だけ、より全身に負荷がかかる。日々、培うパワーこそ本塁打の源だ。

 6月8日ソフトバンク戦以来、24試合ぶりのアーチで快勝。高打率の3割1分9厘を誇り、前半戦もあと1試合だ。「何とか勝てるようにね」。小気味よくフィニッシュを決め、球宴に向かいたい。【酒井俊作】

 ▼鳥谷が1回に本塁打を放ち、プロ2年目の05年から10年連続100安打に到達。阪神では12年連続の藤田平(67~78年)、和田豊(88~99年)、10年連続の金田正泰(46~55年)、真弓明信(79~88年)に次ぎ5人目。球界最長は王貞治(巨人)の21年。また鳥谷のナゴヤドームでの本塁打は、09年8月5日以来5年ぶり。鳥谷のナゴヤドーム通算打率2割3分1厘はセ・リーグ本拠地別最低、8本塁打もマツダスタジアム(09年開場)に次ぎワースト2だが苦手球場での1発で藤浪を援護した。