<中日0-2阪神>◇16日◇ナゴヤドーム

 阪神の強さが凝縮されたシーンだった。0-0で迎えた6回1死二、三塁。相手エース吉見に対してベンチが勝負に出た。1ボールからの2球目にスクイズ。スライダーを外角へ外されたが、上本博紀内野手(28)が飛び付き倒れ込みながらファウルで逃れた。さらにカウント2-2からフォークに食らいついて左前へ運び、決勝点を奪った。

 「スクイズは決めないといけませんでした。(フォークは)頭にありました。食らいついていきました」。上本はいつも通りに笑顔もなく淡々と振り返った。だが、和田監督は大絶賛だった。「よくボールに当てた。追い込まれてからが上本の真骨頂というか、何とかしてくれるというのはある。泥臭くというか、人工芝でも泥臭くね(笑い)」。

 同監督は、前半戦の総括でも上本をポイントに挙げた。「西岡の長期離脱は考えてもいませんでしたが、その中で上本が想像以上の数字を残している。上本の存在というのは前半戦の大きな要因だった」。1番打者として打率2割9分6厘、10盗塁、出塁率3割8分9厘と文句なし。チームのピンチをチャンスに変えた。まさに前半戦のMVPといえる。

 これで5カード連続の勝ち越し。前半戦最後のヤマ場だった9連戦を6勝2敗で走り抜いた。2年連続の2位ターンに、和田監督は「昨年も前半戦、これくらいの成績で、8月後半から9月で失速した。今でも記憶に新しい…。ここからが勝負だと思っています。1戦1戦、全員でやる野球をやっていきたい」。昨年の悔しさを胸に、後半戦に勝負をかける。【鈴木忠平】