中日白井文吾オーナー(86)が17日、谷繁元信兼任監督(43)に故障禁止令を出した。名古屋市内で、指揮官から前半終了のオーナー報告を受けた総帥は「8ゲーム差ぐらいあっと言う間」と逆転Vを厳命。そのためには“選手谷繁が故障しないこと”を絶対条件に挙げた。いかにも兼任監督らしい珍指令。竜の将も気合十分で真夏反攻に出る。

 白井オーナーは諦めていなかった。前半終了のオーナー報告に訪れた谷繁兼任監督を鼓舞するように言った。「優勝できるぞ!」。前半を借金2の4位で終え、首位巨人と8差。V奪回へ厳しい状況に変わりはない。だが総帥は事もなげに大逆転優勝を指令した。

 白井オーナー

 8ゲーム差ぐらいあっという間にくっついちゃうよ。連勝すればすぐ。縮まるのは早い。要望?

 勝ちゃいいんだ。

 豪快な白井節に谷繁監督も力強くうなずいた。だが会談の中で、逆転Vへの絶対条件も出していた。それは指揮官自らが明かした。

 谷繁監督

 とにかく体調に気をつけなさいと。監督がケガしてできなくなるのはダメだと言われました。

 ほぼ全試合観戦する総帥は捕手谷繁の力量を高く評価。若手とはまだまだ差があると感じていた。幾多の修羅場をくぐり抜けてきた経験も後半勝負に欠かせない。だが離脱者が多い状況で、監督まで故障すれば同時に夢はついえる。監督に“故障禁止令”とはいかにも兼任らしい注文だが、それほど信頼は大きかった。

 白井オーナー

 捕手も務めながら、故障者の多い悪条件の中で、持つ知恵を振り絞っている。工夫して組み合わせてようやっとる。

 開幕時は吉見や浅尾が不在で、今なお先発陣はコマ不足。野手もここへ来て大島、ルナ、平田ら主力が負傷離脱した。だが監督自身が試合に出場しながらのやりくり采配で、5割前後をキープ。そして故障者復帰も見込める後半戦に「所期の目的(優勝)に向かって進める」手応えがある。

 谷繁監督

 上を目指してやれということですね。とにかく必死に頑張りたい。

 チームは落合監督最終年の11年、球団史上最大の10差をひっくり返した。それは8月3日のどん底からの大逆転。当時を思えば日程的にもゲーム差的にもデッドラインではない。待ってろ巨人。真夏の反攻劇場が始まる。【松井清員】

 ◆中日過去の大逆転優勝

 11年は8月3日に首位ヤクルトに10ゲーム差をつけられていた。だが落合監督の退任発表後に15勝6敗3分けと勝ちまくり、球団史上最大ゲーム差をひっくり返してリーグV。88年、10年は8差から逆転制覇。今季は首位と最大9・5差がついたが、現在8差まで縮めている。プロ野球史上、最大ゲーム差を逆転しての優勝は63年西鉄の14・5差。