<フレッシュオールスター:全イ7-6全ウ>◇17日◇長崎

 来~る~、きっと来る~。勝負の後半戦、ドラフト1位左腕が奪首の使者となる。阪神期待の岩貞祐太投手(22)が「フレッシュオールスターゲーム2014」に全ウの2番手で登板。1奪三振の3者凡退で、後半戦の先発ローテーション入りを猛アピールした。首位巨人を3・5ゲーム差で追うハラハラ・ドキドキのペナントレース。虎の秘密兵器が飛び出すぞ!

 岩貞は外角低めへの1球でバットを振らせた。先頭の左打ち楽天北川を空振り三振に仕留めると、投球ペースをさらに上げた。捕手のミットを目がけてテンポよく投げ込む。ヤクルト西浦にもフルカウントから思うようなスイングをさせなかった。バットに当たるが前に飛ばない。3本ファウルにした後、外角低めで遊ゴロ。最後は日本ハム岸里を最速143キロの直球で左飛に打ち取った。足取り軽くベンチへと戻った。

 「あのクリーンアップの重量打線と対戦したかった。でも、3人で抑えられたことがよかったと思います」

 乱打戦の空気が流れていた長崎で、変化球を巧みに使いピシャリとゼロを刻んだ。1回から全イのロッテ井上が特大2ランを放つなど、2回裏の登板時でスコアは2-3。打ち合いのムードにビシッとくさびを打った。コーチとしてベンチ入りした阪神平田2軍監督は「下位打線でよかったな。なかなかできないリリーフで登板して、貴重な体験になっただろう」とうなずいた。若手の登竜門、フレッシュ球宴で「阪神岩貞」のアピールに成功した。

 より濃くなって「1軍先発ローテ入り」の文字が見えてきた。阪神中西投手コーチはすでに、8月3日DeNA戦(甲子園)で1軍デビューする可能性に触れている。2月キャンプでの左肘痛から復帰して実戦3戦目。大舞台での3者凡退という結果は、1軍枠への手土産に十分だ。「少しでもチームの戦力になれるように頑張りたい。緩急を使って長いイニングを想定してやっていきたい」。入団時から「能見2世」と期待されながら無念のリタイア。たくましく立ち直ったドラフト1位が、巨人を追いかける後半戦の秘密兵器になる。

 熊本出身の左腕は長崎・ビッグNスタジアムで、何度も試合を行ったことがあった。「3本ぐらいホームランを打たれていた球場なんですよね」。苦い思い出のある球場で、ファーム主体とはいえプロの打者を寄せ付けない。「緊張をしながらも楽しめました。マウンドに立ったら楽しみの方が上回った。プロでマウンドに上がると少し小さく感じるというか、違う目線になりました」。家族も見守る中、一回りも二回りも大きくなった姿を披露。次の見せ場は、1軍戦のマウンドだ。【宮崎えり子】

 ◆阪神の先発投手事情

 右腕は前半戦終了時点で8勝のメッセンジャーと7勝の藤浪。左腕は5勝8敗のエース能見、7勝の岩田、ルーキーながら3勝の岩崎がいて、この5人が中心になる。中西投手コーチは10日「(29日からの)2週目からは6枚いる。岩貞?

 あるやろな」と発言。二神、秋山らとローテーション6番目のイスを争う。<岩貞祐太(いわさだ・ゆうた)アラカルト>

 ◆生まれ

 1991年(平3)9月5日、熊本県。

 ◆球歴

 必由館1年秋から投手。横浜商大で2年春に優勝と最優秀投手賞。同夏に大学日本代表選出。

 ◆球種

 カットボール、カーブ、スライダー、チェンジアップ。最速148キロ。

 ◆プロでは

 2月12日から沖縄・宜野座キャンプに合流。19日の練習試合楽天戦後に左肘痛を訴え、リハビリ。実戦復帰は7月2日のウエスタン・リーグ中日戦で3者連続三振を記録するなど3回1失点。

 ◆家族

 母多恵子さんと弟拓実さん。

 ◆サイズ

 182センチ、78キロ。左投げ左打ち。

 ◆座右の銘

 「莫妄想(まくもうぞう)」。戦いに雑念を持って挑むな、という考え。