<阪神3-0巨人>◇21日◇甲子園
ジャイアンツ猛追の連続猛虎小説が始まった。後半戦の開幕で首位巨人に快勝し、2・5ゲーム差の接近だ。主役は梅ちゃん。ドラフト4位梅野隆太郎捕手(23)が2回無死満塁で左前に2点決勝打を放った。これが女優堀北真希もびっくりのプロ初先制打!
「梅ちゃん先生」はリードもさえ、岩田、呉昇桓の完封リレーをごちそうさんだ。
ベンチ裏からクラブハウスへと続く道。お立ち台でもらったトラッキー人形に目をやり、梅野は笑みをこぼした。後半戦開幕の首位巨人戦。試合前から「いいスタートのためには勝ちがついてこないと」と白星にこだわった。攻守にわたる大活躍での快勝に表情が緩むのも無理はなかった。
「岩田さんが後ろにいたので、自分の打席で(走者を)かえしたかった。しっかり振れた分、粘って抜けてくれました」
代名詞のフルスイングが決め手だった。0-0の2回無死満塁。8番という打順で求められることを頭で整理した。巨人沢村の2球目。外角低めをフルスイングすると、鈍い音を発した打球が三遊間を破った。「持ってるな、と思いました!」。対戦経験のない広島のエース前田が「あれだけ振ってくるのは嫌」とうなったフルスイング。振り抜いたことで、詰まった打球も外野へ抜け、2点適時打となった。今季最多4万6803人が駆けつけた甲子園のファンが、プロで初めての先制打を祝ってくれた。7月はスタメンマスクの13試合中12試合で白星をゲット。快進撃の中心にいるのは梅ちゃんだ。しかしその姿をドラフト前には想像もしていなかった。
昨秋の九州6大学リーグ戦。梅野は10球団のスカウトが駆けつける注目の中で、最後のアピールを続けていた。阪神はもちろんソフトバンク、そしてこの日の相手巨人までもが上位指名を検討。時が流れたドラフト会議直前に、阪神が上位指名を回避する可能性を知った。「(入団の)イメージはまったくなかったですね」。梅野は頭の中で他球団のユニホームを着ていた。10月24日。4位で指名したのはまさかの阪神。「運命なのかもしれないですね」。そう振り返った9カ月後。2位と首位が激突する伝統の一戦で「阪神梅野」が堂々と主役を張った。
捕手としては8度目のコンビを組んだ岩田を好リード。バッテリーで6個目の白星をアシスト。二重の喜びは、7月についた首位猛追の勢いを加速させる。
「あとふたつジャイアンツが残っているので、なんとか勝ち越して差を詰めていきたいと思います」
お立ち台でターゲットを名指しした。後半戦は最高な形で幕を開けた。ルーキー捕手が元気な虎は、巨人をひたすらに追いかける。【松本航】<梅野隆太郎(うめの・りゅうたろう)アラカルト>
◆生まれ
1991年(平3)6月17日。福岡県那珂川町。
◆球歴
片縄小2年から「片縄ビクトリー」で軟式野球を始める。福岡工大城東高では1年夏からベンチ入り。甲子園出場なし。高校通算25本塁打。福岡大では1年春から正捕手。大学通算28本塁打。
◆日本代表
大学2、4年で大学日本代表入りし4番を打つ。4年時は主将。
◆家族
小4で母啓子さん(享年34)をがんで亡くして以来、父義隆さんに男手ひとつで育てられた。弟が1人。
◆記録
5月6日中日戦の代打Vアーチ、7月1日ヤクルト戦の2打席連発は、いずれも阪神新人では69年田淵以来45年ぶり。
◆契約金
5000万円。年俸840万円。



