さあ、宿敵倒してトップになるで~。阪神は今日12日から、敵地で巨人との3連戦に臨む。首位の宿敵とは1・5ゲーム差。3連勝すれば、今季初めて首位に立つ。東京ドーム大好きのマウロ・ゴメス内野手(29)らナインは11日、決戦の地へ向かった。活躍する主砲に、来日中のランディ・バース氏(60)も優勝へのキーマンとして期待した。

 必死に整えた舞台だ。阪神が真夏の決戦に挑む。首位巨人とは1・5ゲーム差。7月1日に「7」あった差をジワリジワリと詰めてきた。最終コーナーに近づいたペナントで「首位攻防戦」と呼ばれるまで持ってきた。虎の主役は新神戸駅で、色紙にカタカナで「ゴメス」としたためていた。3連勝で立つ頂点へ、思いは強まるばかりだった。

 ゴメス

 優勝争いできることに、やりがいがある。2番目で終わらずにトップに立ちたい。やってきたことを続けていきたいね。

 ムフフ、なデータもある。日本デビューした東京ドームでは、ここまで6試合で打率4割9厘。横浜と並んで最高の数字を残す。「暑くないのでドームはいいよね」とニヤリ。ドミニカ共和国生まれの助っ人も日本の酷暑には参っている。7月29日ヤクルト戦は「夏バテ」の発熱で欠場。屋外球場では試合前練習から体力温存を図るだけに、空調抜群はウエルカムだ。

 4番の安定なくして、今の猛虎打線はなかった。リーグ2位の打点82は、失速気味の広島エルドレッドに8差まで縮めてきた。そんな頼もしき主砲に期待する元主砲がいた。29年前に阪神を日本一へ導いたバース氏だ。この日、古巣の地元兵庫県内にいた同氏も、虎の1年目は打点83だった。

 バース氏

 85年のカキー(掛布)、岡田、真弓、私のようなホームランバッターは、今はゴメスぐらいかな。かなり活躍してるみたいだね。甲子園に帰るまでが非常に重要な期間。50%以上勝つことで、グレートチャンスが訪れるよ。

 開場から27年、8月の東京ドームは勝率2割7分6厘と、なぜか勝てない。昨年、和田監督が「3連勝宣言」して乗り込んだ8月末の敵地3連戦で3連敗したのは、記憶に新しい。2週間後には再び同球場での3連戦が待っている。負の歴史に終止符を打たなければ、バース氏の掲げる長期ロード勝ち越しは遠のき、Vロードもかすんでいく。

 過去は過去、今はゴメスがいる。現在3試合連続で打点をマーク、8月も打率3割2分1厘と好調をキープする。ひげもじゃの救世主は「どこが相手だろうがやることは一緒。来た球を打つだけ。頑張って勝ちます!」と力を込めた。甲子園の球児に負けない熱戦へ。プロ野球80周年。「伝統の一戦」が日本の野球を熱くする。【近間康隆】

 ▼ゴメスの巨人戦での打率3割2分7厘(55打数18安打)は、ヤクルト戦4割に次ぎ対セ球団では2位。東京ドームに限れば4割9厘(22打数9安打)で、横浜と並び球場別最高だ。同球場での3月28日開幕戦では、2安打2打点と上々のデビュー。東京ドーム全6試合でノーヒットは1試合だけだ。