<日本ハム11-7ロッテ>◇14日◇札幌ドーム

 日本ハム稲葉篤紀内野手(42)が、値千金の逆転2ランを放った。1点を追う5回1死一塁、ロッテ唐川の直球を右翼席へ運んだ。先発した斎藤の黒星を消す今季1号は、節目の20年連続本塁打。ベテランの1発をきっかけに打線が爆発し、終わってみれば9試合ぶりの2ケタ安打となる15安打で11点を奪い、ロッテに8連勝、勝率を5割に戻した。

 稲葉の執念が実った。1点を追う5回、1発出れば逆転という1死一塁で出番がきた。ここまで2打数無安打だった稲葉は、2ボールからの3球目、139キロ直球をすくい上げた。打球が右翼席ギリギリに消えると右手を上げた。人さし指を突き出しNO・1のポーズ。今季1号2ラン。42歳の大ベテランが真っ白い歯をこぼしながら、無邪気にダイヤモンドを駆け抜けた。

 稲葉

 行け、行けとしゃべりながら走っていました。ガッツポーズも自然と出ちゃいますよね。

 新たな金字塔を打ち立てた。プロ1年目から20年連続の本塁打となった。大卒では金本(阪神)に並ぶ記録。昨季までの打撃コーチ兼任から、今季は選手1本での再スタートだった。出場18試合目での1発は、数ある経験を最大限に発揮したものだった。

 7連敗後に本拠地・札幌ドームで迎えた今カード初戦の12日。練習前に左翼で異例の全体ミーティングを行った後、栗山監督に呼ばれた。小谷野とともに個別で「(起用は)大事なところでと考えている。いいコンディションを維持しておいてくれ」と伝えられた。この日は先発斎藤が序盤で崩れ最大4点のビハインドを負った。一振りで失意から救う勝負強さを見せた。

 ロッテ先発は右腕唐川。本来なら左のDH筆頭候補は20歳の大谷だが疲労や投手調整を考慮され、ベテランに出番がきた。6回には右前打で追加点を演出。4打数2安打3打点と奮闘した。今カード3連勝。4位ロッテに8連勝で突き放した。勝率5割に復帰した。CS出場へ。躍動を続けるベテランが勇ましく導いていく。【田中彩友美】

 ▼42歳の稲葉が5回に今季1号となる逆転2ラン。稲葉の逆転本塁打は10年4月17日西武戦以来で、40代になってからは初の逆転弾だ。これで稲葉はヤクルトへ入団した95年から20年連続で本塁打をマーク。連続シーズン本塁打の記録は谷繁(中日)の26年だが、大卒選手で20年連続は93~12年金本(阪神)に次いで2人目。金本はプロ2年目から続けたもので、大卒1年目から20年連続は稲葉が初めてになる。