<広島2-7巨人>◇15日◇マツダスタジアム

 雨天の戦いで巨人が躍動した。広島エース前田に対し、初回に坂本勇人内野手(25)、2回に高橋由伸外野手(39)の初球攻撃による1発で先制パンチを見舞った。3回には橋本到外野手(24)、高橋由の適時打で追加点を挙げて、マエケンをあっという間にKO。5回には阿部慎之助捕手(35)がダメ押しの1発で試合を決めた。雨天中断48分間を挟んだが、豪雨の中をスイスイ~と快勝を収めた。

 巨人の野球小僧たちが、広島エース前田の「ピッチピッチ」を「チャップチャップ」のグラウンドの水たまりを避けるように1発攻勢の「ランラン」で攻略した。

 開始前からの強い雨。いつ中止が宣告されてもおかしくない状況で、坂本が先陣を切った。初回2死、初球のカーブを左翼席へ。「頭になかったボールだったけど、うまく反応できた」と狙い球ではなかったが、11号ソロで先制。2回は高橋由が初球の内角142キロ直球を右翼席へ高々と5号ソロを運ぶ。「早い回に点が取れた」。中止のリスクを見越し、手数をかけずに速攻。雨中のセオリーだ。

 試合前に願っていた。移動ゲームの雨天中止は恵みの休息…ではない。長野は丸刈りの記者を見つけ「あ、テルテル坊主だ!」と手を合わせて拝んだ。坂本も「つるしていいですか?」と乗った。夏休み、お盆で前売り券は完売。原監督は移動前の羽田空港で「お客さんがたくさん来るからな。(天気は)神のみぞ知る、だな!」と声のトーンを上げた。阪神との首位攻防3連戦を勝ち越し、上昇ムード。阿部も「調子も上がってきたし、やるしかないな」と腹を固めていた。

 大の大人たちが雨を見て、子供のようにはしゃいだ。アップと同時に豪雨に見舞われ、普段はクールな井端が「ウォー!」と雄たけびを上げながら、退散。原監督は若手を指導し、汗びっしょりで「野良仕事をしてきたよ」と笑顔。試合前まで屋外球場は14勝18敗で勝率4割3分8厘と苦手にしていたが、感じさせないハイテンションだった。

 3回には橋本、高橋由が適時打を放ち、マエケンから6得点を奪った。これまで巨人戦では5回以上を投げ抜いてきた球界屈指の右腕を最短KO。まさに「レイニーブルー」にさせた。

 5回は4番阿部の完璧な12号ソロで約4カ月ぶりに今季3度目のクリーンアップ1発そろい踏み。48分間の雨天中断を挟んだが、試合内容はカラッと爽快。雨天の戦いこそ、地力の差が出やすい。原監督も「雨も味方にして、勝つことができた。向こうは雨を嫌がっているように見えたが、ウチはスクラムを組んで、戦えたように見えた」と、たたえた。「あめあめ、ふれふれ~」とばかりに強さを発揮した。【広重竜太郎】

 ▼巨人は3番坂本、4番阿部、5番高橋由が本塁打。巨人のクリーンアップそろい踏みは4月2日DeNA戦、同9日広島戦に次いで今季3度目。阿部と高橋由のアベック弾は通算38度目で、坂本、阿部、高橋由の3人がそろって1発は昨年7月24日広島戦以来5度目だが、このトリオによるクリーンアップそろい踏みは初めて。この日は先発前田から6点。前田の巨人戦先発は通算27試合目(他にリリーフ1試合)だったが、6点取ったのは10年7月30日の8点に次いで2度目、5回を持たずに降板させたのは初めてになる。