<DeNA0-8広島>◇19日◇横浜

 真夏のコイはまだ熱く燃える。11安打8得点でDeNAに完勝し、3連勝だ。10年ぶりの7試合連続2桁安打をマークし、球団記録に王手。4番ライネル・ロサリオ外野手(25)が1回に先制打、5回にも適時打で3安打2打点と大暴れした。菊池は今季2度目の20試合連続安打、先発野村は8回無失点と役者がそろった。

 あっちむいてホイ、だ。見た目が美しくなくたって問題はない。ロサリオは自慢の腕力で先制打を押し込んだ。1回1死一、二塁。久保の内角高め直球に差し込まれた。顔と体を左方向に開きながら、強引に振り抜く。力強く弾んだ打球は詰まりながらも、体の向きとは反対方向の一、二塁間を抜けた。

 ロサリオ

 久保投手はボールを動かしてくるし、変化球を投げ分けてくる。来た球に逆らわず、クイックに立ち遅れないように気をつけた。僕の仕事ができて良かったよ。

 7月9日に出場選手登録を抹消される直前は、高めの直球についていけず空振りする場面も目立っていた。8月13日に1軍再昇格するまでの2軍生活中に、バットを短い距離で出す、始動のタイミングを早めることを意識。わずか1カ月で弱点を修正し、新井打撃コーチは「速い球に対応できるようになっているね」と目を細めた。

 2点リードの5回1死一、二塁ではスライダーをミートし、三塁線を抜く適時二塁打も記録。3安打2打点を決め、チームの7試合連続2ケタ安打達成の主役を担った。12カードぶりに3連戦初戦を取り、野村監督は「良かった。本当に良かった」とホッと胸をなで下ろした。久保にタイミングが合わないキラを4回裏からベンチに下げてまで、勝利をつかみにいった一戦。新4番の勢いが負のデータを消し去った。

 7月のある日、ロサリオはマツダスタジアムで観客から「ROSARIO」と筆字で書かれたオリジナル扇子を直接プレゼントされ、大切に持ち帰った。来日して間もなく1年。ファン人気もうなぎ上りだ。4番就任後の4試合すべてで安打を記録し、3試合連続で2安打以上。もう、エルドレッドの代役とは呼ばせない。【佐井陽介】

 ▼広島が11安打を放ち、10日阪神戦から7試合連続2ケタ安打。広島の7試合連続は、04年8月14~24日(8試合連続)以来10年ぶり5度目。球団記録は72年と前記04年の8試合連続。プロ野球記録は50年松竹の15試合連続。