<中日0-7DeNA>◇26日◇ナゴヤドーム

 ただいまの1発だ。左脇腹痛で2軍調整中だったDeNAユリエスキ・グリエル内野手(30)が38日ぶりに1軍復帰し、「3番二塁」でスタメン出場。4回、左翼席に先制7号ソロを放ち、チームの連敗を2で止めた。サッカー・ブラジル代表ネイマール風の金髪にした助っ人の活躍で、4位中日に0・5ゲーム差に詰め寄った。

 先頭で勝利のハイタッチを交わすグリエルは、満面の笑みだった。4回にチーム初安打の先制の7号ソロ。復帰戦を勝利に導く1発に、「1軍に戻って来た試合でホームランが出て、最高の気分じゃないわけがないよ。9回まで守れたことも満足だけど、それ以上にチームが勝って満足している」と胸を張った。

 もどかしい1カ月だった。7月16日広島戦で左脇腹を負傷。そこまで打率3割4分、6本塁打の活躍から一転、戦線離脱を強いられた。同10日には、再会を心待ちにしていた婚約者のバレーラさん(25)、父ルルデスさん、母オルガさんが来日していたが、満足に雄姿をみせることが出来ず。2軍でのリハビリ中には「いったい何のために日本に来たのか」と、こぼしたこともあった。励みとなったのは炎天下で泥だらけになって1軍を目指す若手の姿だった。「タレントあふれる選手たちと一緒に練習したことは、自分にもプラスになったんだ」。

 実力に年齢やキャリアは関係ない。理想の選手を問われて挙げた名前は、メジャーでプレーするプイグ(ドジャース)ケンプ(ドジャース)トラウト(エンゼルス)マカチェン(パイレーツ)の4人。往年の名選手でなく、全員自分よりも年下。プイグとトラウトはまだ20代前半だ。「この4人が、今全ての面で完成された選手だと思う。プレーに年齢は関係ないから」。たとえ2軍選手でも色眼鏡では見ない。いいものはいい。それを吸収するために海を渡った。“原点”を思い出し、1軍を離れた期間も無駄にはしなかった。

 1軍合流前の24日に、ネイマールをモデルに髪を金色に染めた。イメチェンの金髪も幸運を運び、「これからも節目で変えようかな。サプライズだね」と笑った。チームは今日にも4位浮上。目標の逆転CS進出も「期待を失ったことはない」と言い切る。力強い男が、最高のタイミングで帰ってきた。【佐竹実】