<中日4-6広島>◇8月31日◇ナゴヤドーム

 さあ、総力戦じゃ!

 広島は今季初めて助っ人勢を外した野手8人をスタメンに並べ、国産打線で中日相手に今季2度目の同一カード3連勝を飾った。新3番の菊池涼介内野手(24)、新4番の丸佳浩外野手(25)らが3者連続適時打を決めれば、負傷交代した会沢に代わって途中出場した石原が、決勝打を含む2打席連続適時打と打線が底力を見せつけた。ナイターで首位巨人が敗れ、1ゲーム差まで接近した。明日2日からの巨人3連戦で一気に首位奪取を狙う。

 1発長打で恐怖を与える。そんなイメージをガラリと変えた。若ゴイ軍団はつないで勝利し、マシンガン打線の印象を強めた。3点リードを追いつかれた直後の6回1死満塁、途中出場の石原がセンター返しで決勝打を決めた。「どんな形でもいいから点が入れば、と思っていた」。以前のような派手さはない。その分、勝負強さが際立った。

 主砲エルドレッドが絶不調から抜け出せず2軍落ち。キラは2軍再調整中。若き大砲ロサリオもここに来て壁にぶち当たっている。この日、先発野手8人の中に助っ人勢の名前はなし。昨季8月20日中日戦(岐阜)以来、1年ぶりに国産打線を組んだ。

 従来の2番菊池、3番丸を3番菊池、4番丸に変更。ともにプロ入り後初の打順に座った2人が、普段通り快音を響かせた。1点を追う3回2死満塁、3番菊池の中前2点打で逆転。第64代4番の丸も、2死一、三塁から遊撃吉川のグラブをライナーではじく適時打を放った。5番梵まで3者連続適時打を決め、この回一挙4得点。指揮官は「いい働きをしてくれた」と新3、4番をたたえた。

 丸は試合前、緒方孝市野手総合コーチ(45)から「おう、4番!」といじられた。野村監督からは、自身も緒方コーチも現役時代、先発4番を経験したことがないことを伝えられたという。千葉経大付高時代にも記憶にないという4番先発に「特に意識することなく、今まで通りやれた」。重責をプレッシャーに変えず、自然体を貫くところが頼もしい。

 ここまで116試合で両リーグ最多の128発を記録している打線だが、もともとの売りは「つなぎ」。この日はすべて単打の12安打で6点を奪った。野村監督は「適材適所でうまく考えて、はめ込んでいきたい」と説明。今後も打順を固定せず、柔軟に打線を作り上げていく考えだ。

 持ち味の「つなぎ」で勢いを加速させ、6月2日以来の2ケタ貯金に戻した。明日2日からは1ゲーム差に迫った首位巨人と3連戦を戦う。「大事な試合だけど、気負いすぎて入るわけでもない」。どこまでも冷静な丸の言葉が、王者巨人にとっては不気味に聞こえるだろう。【佐井陽介】