ロッテは11日、里崎智也捕手(38)の今季限りでの引退を発表した。里崎はこの日、ロッテ浦和球場とQVCマリンを訪れ、関係者にあいさつ。2軍の後輩たちには、強烈な激励の言葉を残し、ロッテの未来を託した。今日12日には、ユニホーム姿で引退会見に臨む。

 午前9時半。練習前に2軍の若手たちの輪を前にした里崎は、静かに語り出した。「挑戦できるチャンスがあるのは幸せなこと。野球選手でいられる時間は限られているのだから、その中で結果にこだわってやってほしい。2軍で活躍しても誰も喜ばない。1軍で活躍してこそ、2軍の監督、コーチも喜んでくれる」。1人ずつ名前を挙げてメッセージを残したかったが声が震え、涙がこぼれそうだった。言いたいことはのみ込んで、あいさつを切り上げた。

 強烈な言葉の返礼はサプライズの胴上げだった。94キロの巨漢。一瞬、宙に舞った後、まさかの落下。後輩たちの「重すぎます」という言葉に、苦笑いしながら「入団した時はオレも軽かったんや」と答えた。2度目の胴上げで、しっかり宙に舞うと「こんなんしてもらえると思ってなかったから、うれしかった」と満面に笑みを浮かべた。

 最後まで里崎節を貫く。今日の記者会見には、スーツではなくユニホーム姿で臨む。「入団会見の時もユニホームだった。最後もユニホームの方がいい。スーツだったら、テレビとかで見た人が『この人誰?』ってなるかもしれないじゃないですか」。ロッテの里崎として、自然な姿を自ら選択した。

 「悔いは全くない。いっぱい稼がせてもらったし、いい思いをたくさんさせてもらった」という野球人生を最後の瞬間まで全うするつもりでいる。この日も左膝のリハビリは欠かさなかった。「引退試合をしていただけるかもしれないということなので、そこで恥ずかしい姿を見せないためと、今季中はまだロッテの選手なので」と里崎。捕手は無理でも、打席には立てるまでに回復しつつある。【竹内智信】