全身全霊で常勝軍団をつくる。楽天大久保博元2軍監督(47)が14日、新監督に就任した。退任した星野仙一監督(67)を継ぎ、1年契約で歴代5人目の監督となった。仙台市内の球団事務所で会見。「ユニホームをもう1回着たいと思わせてくれて、チャンスをくれたチームと(星野)監督に感謝します。命を懸けて、恩返しをしたい。それが本音です」と熱っぽく話した。

 古巣西武を10年に退団したが、契約解除を巡り西武球団と係争する事態に発展した。当時は「一生、ユニホームを着ることはないと。野球学校をやって、裏で野球との懸け橋になろうと思っていた」という。縁あって、11年秋に楽天入り。打撃コーチ、2軍監督を経て、1軍監督に。それだけに、楽天と星野前監督への感謝の思いがあふれ出た。

 実は、ドタバタの1日だった。球団は既に監督昇格を決めていたが、本人への連絡はこの日の午前9時だった。安部井本部長からの電話を受け、フェニックスリーグで滞在中の宮崎から飛行機と新幹線を乗り継ぎ仙台に戻った。事務所で星野前監督に「やれ」と言われ、受諾。午後4時からの会見に、なんとか間に合った格好だが「今朝の話。正直、混乱していますが、課題は常勝軍団をつくることです」と言い切った。

 具体的なチームづくりは、これからだが「スランプがあるものに頼っちゃダメ。打力、打力でいくと失敗する。チーム打撃ができるように。盗塁も1試合に1個はできれば」と、バッテリー中心に足も使って守り勝つ野球を目指す。その点は星野前監督の描いていたチーム像と一致する。「星野監督の『闘志なき者は去れ』の思いの中で3年間やった」とも言った。ハートの部分でも星野イズムを引き継ぎ、最下位からの巻き返しを狙う。【古川真弥】

 ◆大久保博元(おおくぼ・ひろもと)1967年(昭42)2月1日、茨城県生まれ。水戸商から84年ドラフト1位で西武入団。92年途中に巨人移籍し、95年引退。通算303試合、41本塁打、100打点、打率2割4分9厘。引退後はプロゴルファー挑戦、評論家を経て、08年に西武1軍打撃コーチで球界復帰。編成部に転じた後、10年に2軍打撃コーチで現場復帰。同年7月に暴力行為で解雇。11年10月に楽天1軍打撃コーチ就任。13年から2軍監督。今年7月2~24日は1軍監督代行を務め、17試合で8勝9敗。181センチ、97キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1500万円。愛称はデーブ。