<パCSファイナルステージ:ソフトバンク5-2日本ハム>◇第4戦◇18日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンク先発中田賢一(32)が日本ハム打線の勢いを止めた。5回で5四球を与えながら7奪三振とねじ伏せるような投球。2失点で踏ん張り、史上最多に並ぶCS通算5勝目を挙げた。6回以降は5投手の継投で無失点。日本ハム中田を眠らせたまま、第5戦先発のスタンリッジにつなげた。

 CS男の真骨頂だった。ソフトバンク中田は3連続を含む5四球と球が暴れまくったが、5回を3安打2失点にまとめた。「勝ててよかった。それが一番。調子はよくなかったが、できるだけ長く投げようと思った」と笑った。

 史上最多に並ぶCS通算5勝目。「結果的にそうなっただけ」と話すが、大舞台での強さを発揮した。5回までに114球を費やす苦難のマウンド。3戦までキーマンだった陽岱鋼、中田の3、4番は無安打、4三振に抑えた。5回2死一、三塁では小谷野を低めボールゾーンへのフォークボールで空振り三振。「ちょっと手前だったけど、腕を振って投げた」。思い通りの球で切り抜けた。

 CSの悔しさをCSで晴らしたかった。中日時代の12年10月13日、ヤクルトとのCSファーストステージ第1戦に先発。「プロで一番緊張した試合。投げてて途中で肩が抜けそうだった」。5回3安打無失点。四死球も0だったが、右腕に力が入らなくなり降板した。勝ち投手にはなったが、病院で軽度の右肩関節唇損傷と診断された。「悔しい思いが残っている」。不完全燃焼のまま止まっていたCSの舞台で、この日は腕を振った。

 FA移籍してきた今年、秋山監督から「狙いにいきすぎ」、「もうちょっと大胆でいいんじゃないか」とポイント、考え方をアドバイスされてきた。恩師の突然の辞任に「びっくりした。CSはしっかりやらないと」とさらに気持ちを高めていた。「あとは応援するしかないですから」。流れは引き戻した。あとはCS突破の瞬間を待つだけだ。【石橋隆雄】

 ▼中田は中日時代にCSで4勝(1敗)しており、通算では5勝目。プレーオフ、CSで5勝はダルビッシュ(日本ハム)吉見(中日)に並ぶタイ記録。2球団で勝利投手は豊田(西・巨)ホールトン(ソ・巨)杉内(ソ・巨)馬原(ソ・オ)に次いで5人目。この日は5四球を与えたが、プレーオフ、CSで5与四球以上で白星は75年第2戦山口(阪急)に次いで2人目。