常勝軍団への1歩は、マニュアル作りから。楽天大久保博元監督(47)が10日、球団の指導方法をまとめたマニュアル本を作成する考えを示した。その名も「楽天流」。首脳陣だけでなく、選手とも共有する。指導ノウハウを蓄積し、将来に続く球団の財産とする。

 大久保監督の口から、新たなアイデアが飛び出した。「『楽天流』を作ろうと思うんだ。指導方法のマニュアルだね」。岡山・倉敷の秋季キャンプも、この日は全体練習が休み。だが、指揮官の頭は休んでいなかった。どうすれば、楽天が強くなるか。これまでも、いろいろな案を試してきたが、次の手は自身を含む指導者に向けたものだった。

 三木谷オーナーが10月に出した書籍も「楽天流」だった。そちらはビジネス書だが、デーブ式「楽天流」は、まずは基本的な技術論が中心となる。「打者だったらグリップをどう握ればいいか。投手ならキャッチボールの仕方。守りなら、ちゃんと両足をそろえて捕りなさいとか。何がベストか、今、データを出しているところ」と説明した。さらに「あいさつの仕方も書く」。プロとしてのマナーも記すことで、総合的な指導法とする。

 構想は以前から持っていた。きっかけは、素朴な疑問だった。「指導方法が、みんなバラバラ。おかしくないか?」。コーチが代わるたびに、指導法も代わる。選手のためになるのだろうか。そんな問いかけから、マニュアル作りに思いが至った。完成すれば選手とも共有する。「入団前の選手に渡してもいい。楽天のカラーをしっかり伝えられる。ぶれない指導ができるように」と強調した。

 目指すのは、将来にわたる財産作りでもある。「せっかくいろんな指導者の方が来てくれているのに、蓄積できないのはもったいない。だから文字にして、見えるようにして、共有したい。時代によって野球が変わっていくなら、マニュアルも改定していけばいい。第3版、第4版とかさ」と青写真を描いた。新興球団ゆえに、歴史の蓄積がないのが弱みとも言える。そこを補うのがマニュアル作り。「一致団結」を掲げる大久保監督らしく、指導ノウハウも団結する。【古川真弥】<楽天大久保監督のアイデア>

 ▼アーリーワーク

 球界でいち早く早朝練習を導入。以前は日の出前に行うこともあったが、今キャンプは全体練習の約1時間前、午前9時15分から。

 ▼8人対8人の紅白戦

 今キャンプで実施。あえて1人少ない人数でプレーすることで、選手に考える習慣を身につけさせる。

 ▼選手が監督

 紅白戦で選手に監督を任せた。選手同士でどう評価しているのかを見る。

 ▼全選手にランク付け

 ポジションごとにチーム内の順位を付けている。実力差を明確にすることで、1軍昇格の目安や発奮材料とする。

 ▼練習間の移動はダッシュ

 走ることで余計なことを考えさせない。切り替えを促し、集中力と緊張感を与える。

 ▼あいさつの徹底

 立ち止まり、帽子を取ってあいさつ。マナーを求める。