ソフトバンクが11日、日米大争奪戦に参加する意思を表明した。オリックス金子千尋投手(31)が同日、国内FA権の行使を宣言。球団首脳は素早く反応し、獲得に乗り出すことを明言した。資金力は豊富で、4年20億円以上の大型契約を提示する模様だ。金子はポスティングシステムでのメジャー挑戦も視野に入れるが、ソフトバンクにとって先発補強は今オフの優先課題。日本一連覇へ、沢村賞右腕獲得を目指す。

 球界屈指の右腕のサプライズ宣言に、ソフトバンクが黙っているはずがなかった。金子の国内FA権行使に、素早く反応。キャンプ地の宮崎市内で、三笠球団統括本部副部長は「いい投手ですね。(FA市場へ)出てきたわけですから、検討したいと思います。12球団ナンバーワンの投手がフリーエージェントとなれば当然、検討する」と熱っぽく語り、獲得に動くことが確実になった。

 メジャー志向を明らかにしている金子を巡っては、日米大争奪戦に発展する可能性が高い。豊富な資金力を背景に、ソフトバンクも敢然と参戦する。オリックスはエースの流出阻止に3年で最大で15億円とみられる条件を提示した。ソフトバンクはそれを上回るオファーを準備することが確実。4年20億円を最低ラインに、巨額契約を用意する模様だ。

 補強に対する考えとして、後藤球団社長兼オーナー代行は以前にも「選手の獲得予算は作るべきではない、青天井でいいと思います。必要な選手には必要なマーケットプライスがあり、それを提示するのは当然」と明確に示していた。先発補強を最優先課題に掲げ、メッツをFAとなった松坂大輔投手(34)の日本球界復帰にも動いている。今季、優勝を争ったライバルチームのエースが加入すれば、日本一連覇を目指す工藤新体制にとって、大きな補強となる。

 日米野球の金子はこの日、侍ジャパンの練習後に口を開いた。「FA宣言するということに決めました。前にも言いましたが、すべての可能性を考えたいなと思ったのでこういう決断になった」。申請期限ギリギリで悩んだ末の結論だった。その一方でポスティングでのメジャー移籍も視野に入れている。10月22日に渡米し、ワールドシリーズ第3戦を観戦。「あこがれの場所でやってみたい気持ちは変わらず持っています」と思いを口にした。ただ、オリックスがポスティングを認めるかは流動的だ。

 「今は日米野球中なので、そこに集中したい。中途半端な気持ちでは投げたくない」と今後の方向性は胸の内に封印。複数の選択肢を想定しながら、ソフトバンクが獲得に動く。