3冠達成が頂点への近道だ!

 阪神藤浪晋太郎投手(20)が11月30日、来季の目標を最多勝、最優秀防御率、最高勝率の3冠に定めた。前日同29日のOB会総会で「タイトルを狙えるような投手に」と熱望した江夏豊氏(66)の声に早速反応した。同氏は来春のキャンプで臨時コーチ就任が決定。レジェンドの教えを生かしてタイトル奪取、リーグ制覇へ突っ走る。

 鳴尾浜で約2時間のトレーニングを終え、藤浪が寮の前で立ち止まった。江夏氏から「阪神だけではなく、日本球界の宝」と評された男は、期待を全身に受け止めながら、自信に満ちた表情でスケールの大きな目標を設定した。

 「防御率と運の要素もありますが最多勝、最高勝率もですかね。その辺りを意識してやりたいと思う」

 頭に描いた3冠。直前には「奪三振(のタイトル)は自分の中で評価すべき数字じゃない」と言い切った。この3部門をあえて選んだのは、チームの勝利に直結するタイトルだからだ。球団創立80周年の来季、ふさわしいのは10年ぶりのリーグ制覇しかない。思い返せば03年の優勝時にはエース井川(現オリックス)が20勝5敗を記録。勝率8割、防御率2・80で“3冠”(当時最高勝率は表彰対象にはならず)を達成した。目標の実現はチームの快進撃を裏付ける。そのヒントを授けてくれるのが、阪神在籍中に最多勝2回、最優秀防御率1回を記録した大先輩だ。江夏氏は来春キャンプで臨時コーチに就任することが決定。伝説左腕の野球道に触れることができる。

 「タイガースのレジェンドの方なので気持ちの部分とかを聞けるチャンス。とにかく話を聞いてみたい」

 藤浪が「雲の上の方」と敬う江夏氏。OB会総会で語っていた「もう少し勝っていたら最多勝も狙えた」という分析にもうなずいた。「自分としてももったいない試合が多かった。最多勝は狙える数字」。今季のシーズン序盤は100球、打者3巡目の壁にぶち当たった。5月20日オリックス戦まで8試合に先発しわずか2勝。そこの踏ん張り次第ではタイトルも見えていた。もどかしい思いは消えていない。

 今日1日からは来季に向けて鳴尾浜で強化練習に励む。11月に参加した侍ジャパンでは、ソフトバンク武田から縦に落ちるスライダーの握りを学ぶなど引き出しを増やした。「いろいろな人の考えに触れるのは大事」というのはモットーだ。ここからは頭を整理し、体を仕上げて球春に向かう。最後にレジェンドイズムを吸収したとき、3冠への藤浪スタイルが完成する。【松本航】

 ◆江夏氏の指令

 大阪市内で開催された11月29日のOB会総会。初めて出席した江夏氏は、藤浪に関して「俺らの時代は10勝しても大きな顔ができなかった。今は最多勝が13勝という時代。来年はタイトルを取れるような投手になってほしいね」などと話し、タイトル奪取を期待した。