【サンディエゴ(米カリフォルニア州)10日(日本時間11日)=四竈衛、佐藤直子通信員】阪神から海外FA権を行使してメジャー移籍を目指す鳥谷敬内野手(33)が年内にメジャーか阪神かの決断を下すことを、代理人のスコット・ボラス氏(62)が明らかにした。複数球団がメジャー契約での獲得に興味を示しており、サンディエゴで開催中のウインターミーティングで接触。来週中にも鳥谷と話し合いを持ち、方向性を決めることになりそうだ。

 スーパーエージェントが高らかに宣言した。「トリは全30球団に知られた存在。その中でも複数球団がメジャー契約での獲得に興味を示している」。開催中のウインターミーティングで複数球団と接触したボラス氏は、かなり好感触を得たようで自信満々の笑顔を絶やさなかった。

 阪神では不動の遊撃手だった鳥谷だが、同氏は「二塁起用の可能性が高いことはトリも承知の上」と言う。ただ「控え選手の器ではないとハッキリ言わせてもらった」と話すなど、あくまでレギュラーの座を求めて交渉していく構え。今オフのFA市場は二遊間の層が厚くないため「メジャー移籍を目指すには絶好機」と強気の姿勢だ。今後は、WBCや阪神での活躍をまとめた映像を資料として活用しながら交渉を進めていく予定だ。

 鳥谷のメジャー挑戦にかける思いは強い。メジャー契約が届けば、海を渡る可能性は非常に高い。ただ、ボラス氏は「トリは阪神と素晴らしい関係を築いた。もちろん復帰も選択肢のうちの1つ」と、阪神残留の可能性も消さなかった。メジャーか、阪神か。決断の期限を問われたボラス氏は「彼が阪神に帰られなかった場合、阪神が補強に十分な時間を割けるように配慮したい」と答えた。

 1月まで持ち越す可能性を問われると「そこまではかからない。その前にははっきりさせたい」。報道陣が「年内にはメジャーか、阪神か決めるということか?」と確認すると、はっきり「イエス」と答えた。来週にもウインターミーティングで興味を示した球団をまとめ、阪神のオファーと合わせて鳥谷に提示し、今後の方向性を固めることになりそうだ。

 ドジャースがトレードでフィリーズから遊撃ロリンズを獲得し、二塁ゴードンをマーリンズに放出するなど、二遊間の補強も少しずつ動きが出始めた。現段階では興味レベルにとどまる鳥谷獲得だが、敏腕代理人が具体的なオファーを集める日も近そうだ。

 ◆スコット・ボラス

 1952年11月2日、米カリフォルニア州生まれ。パシフィック大学時代は主に内野手として活躍。24歳まで4年間マイナーでプレー。2Aのオールスターに選出されたこともある。故障で現役断念後、マックジャージー法律学校で弁護士資格を取得。00年オフにA・ロドリゲスとレンジャーズとの間でまとめた、10年総額2億5200万ドル(約290億円)は、当時の全米プロスポーツ史上最高。数々の巨額契約を手がけている。(換算レートは当時)<FA鳥谷の経緯>

 ◆10月30日

 海外FA権行使の意思が判明も日本シリーズ敗退後には「ゆっくり考えます」とだけ話す。

 ◆11月4日

 ヤフースポーツやニューヨーク・ポスト電子版などの米メディアに「鳥谷メジャー移籍」に関する記事が登場。

 ◆6日

 極秘渡米。代理人の選定など、移籍への本格準備をスタート。

 ◆11日

 球団にFA申請書類を提出。球団がNPBに手続きを行った。

 ◆13日

 代理人がスコット・ボラス氏に決定したことが判明。ナショナルズなどが獲得調査進める。

 ◆17日

 阪神と残留交渉、慰留受けるも保留。

 ◆21日

 阪神和田監督がすでに鳥谷と直接連絡を取り慰留したと明かす。

 ◆26日

 NPBアワーズに出席した鳥谷が「何かを言われて(メジャー願望が)変わるわけではない。向こうのことはすべて代理人に任せている」などメジャー志向をこのオフ初めて明言した。