阪神岩田稔投手(31)が13日、高槻市内の大阪医科大で1型糖尿病患者・家族会が主催したクリスマスパーティーに参加し、来季20勝を宣言した。会場で来季勝ち星を問われると「最低15は目指したい」ときっぱりと言った。会終了後には上方修正し、阪神では03年井川以来となる20勝超えを大目標に掲げた。

 「20でもいい。目指さないといけない。達成できれば基金にも協力できる。いかないといけない数字」

 岩田は高校2年冬に1型糖尿病を発症。09年から1勝につき10万円を「1型糖尿病研究基金」に寄付している。10勝した08年以来2桁勝利に届いておらず、今季も9勝。20勝は途方もない数字にも聞こえるが、あえて高い目標を公言することで自分を追い込む。

 「今までは達成できなかったらどうしようと考えて言えなかった。口に出して自分にプレッシャーをかける戦いもおもしろい。ダメなら、たたかれるだけ」。昨オフは初めて米国アリゾナ自主トレを敢行。下半身を鍛え抜き、低い重心から強いボールを低めに集める投球に磨きをかけた。今オフも年明けからアリゾナで進化を加速させる。

 1型糖尿病患者の中には毎年、社会貢献した数人が「ガリクソン賞」を受賞している。同病患者で巨人、メジャーで活躍した名投手ガリクソンの名を冠した賞だ。そして今、「岩田賞」設立を期待する声も多い。

 「僕自身、まだガリクソン賞を取れていないけど、目標となる賞だったらやるべきだと思う」

 強い覚悟で20勝を成し遂げれば、一気に道は開ける。【佐井陽介】

 ◆ガリクソン賞

 ガリクソンが現役引退後の98年、日本糖尿病協会が制定。社会貢献した1型糖尿病患者が年に数人選ばれ、賞状や記念楯を授与される。「大阪くるみの会」を立ち上げた小児科医・小西和孝さん(66)は「岩田選手は患者の夢。自分の名がついた賞を作ってもらう側の人。これから自然の流れでそうなれば」と「岩田賞」制定を期待した。