右肘手術からの完全復活を目指す中日吉見一起投手(30)が16日、2年ぶり自身4度目の開幕投手を狙うと明言した。

 「やっぱり先発でいきたいですし、頭を狙っていきたい。宣言ではないけど、あらためて口に出してプレッシャーをかけたい」

 “頭”というのは、もちろん来年3月27日阪神戦(京セラドーム大阪)の開幕投手。堂々の「開幕投手宣言」ではないが、虎視眈々(たんたん)と開幕のマウンドを狙う。静かだが、はっきりとした意思表示だった。

 12月上旬。ある記事が目に飛び込んだ。トレーニング先である鳥取の「ワールドウィング」に置かれていたスポーツ紙に巨人内海のコメントが載っていた。「先発をやっている以上は(開幕投手を)目指していかないといけない」。2歳年上である内海の言葉に「確かにそうだな」とハッとした。

 鳥取で新たな武器も手に入れた。初動負荷理論に基づいて製作されたスパイクだ。山本昌、山井も試合で使用する特注品で靴底にある3本のライン(バー)が特徴。これまでは6本歯のスパイクだったが、今回のものは13本歯と、まるで違う感覚だ。

 「『動く歩道』のように勝手に進む。現段階ではっきりしたことは言えないけど、疲れにくそう。何かを変えないといけない。足元から替えようと思った」

 12年まで5年連続2桁勝利をマークしたが、今季は肘の故障再発もあり3試合0勝。アドバンテージがないことは百も承知だ。来季の開幕投手は山井、大野のどちらかというのが現時点での大方の予想だ。だが、吉見ははっきりと言った。「奪われたくない」。信頼をもう1度取り戻す。エースの復活が何よりの“戦力補強”になる。【桝井聡】