直接会談でハートを射抜く!

 阪神がオリックスから国内FA宣言した金子千尋投手(31)サイドに本人との直接交渉を求め、条件付きで了承を得たことが17日、分かった。獲得に乗り出した複数球団から絞り込まれた2、3球団に入った場合、来週にも直接交渉を行う可能性が出てきた。阪神はこの日、オファー内容を煮詰める作業をほぼ終え、近く条件提示する。

 金子獲得までの第1ハードルがはっきりした。まずは争奪戦に名乗り出た複数球団の中から上位に入ること。阪神中村GMは気合十分の表情で説明した。

 「上位2、3球団に入って、そこから“面接”になるんじゃないかな」

 熱意と誠意を伝えたい。中村GMは水面下で金子サイドに、本人との直接会談を求めていた。「会わせてくれと要望した。いろんな注文なり思いを聞かせてもらいたいし、我々が持っている思いもね」。金子はオリックスGM時代の04年秋に自由枠で獲得し、同監督を務めた06年には共に戦った選手。「もともとオリックスの時に取った選手。特別な関係にあると思っている」。熱い気持ちを込めた要望は条件付きで通った。

 「何球団かに絞り込んで、上位に残った後に会わせよう、ということです」

 阪神はこの日、球団事務所内で南球団社長と中村GMが顔を合わせ、オファー内容を煮詰める作業を完了させた。中村GMは「球団案を詰めた。ほぼ、それで(相手に)投げてもいいのかな、というもの」と説明した。条件内容は明かされていないが、球界関係者の証言を元にすると3年15億円級の大型提示となりそうだ。今週中に電話で代理人に連絡を取り、正式アタックとなる条件提示を行う。

 球界関係者の話を総合すれば、金子サイドはオファーをもらった複数球団を今週中に2、3球団に絞り込み、年内には結論を出したいという意向だという。現時点で5、6球団が獲得に乗り出しているという情報もある。この中から「上位2、3球団」に選ばれた場合、来週にも金子本人との直接会談が実現する。

 強く金子を必要とする理由、打倒巨人への意気込み…。直接会談は思いを伝え、同時に偽らざる本音を聞ける場でもある。

 金子は来オフ以降もメジャー挑戦の道を模索する可能性がある。阪神は将来的にメジャー移籍を希望した場合、1年契約を終えてのポスティング制度利用については抵抗を示しているが、2年間プレーした後ならば容認する方向だという。

 すでに金子サイドから情報を集めている。中村GMは「本人も(メジャーへの)気持ちがないわけじゃない。(思いは)聞いているけど、いつになるのか分からないし、行かないかもしれない」と分析。あらためて本人から真意を確認できれば、交渉がスムーズに進む可能性は高くなる。

 とにかく会いたい。虎はまず、最初のハードルを全力で飛び越えにかかる。