ソフトバンクの工藤公康監督(51)が全選手に“冬休みの宿題”を与えていたことが23日、分かった。福岡市内で行われたトークショーに参加した城所龍磨外野手(29)が明かした。春季キャンプで2500メートル走と懸垂10回×3セットを課すので準備しておくように、という内容。既に懸垂の練習に励んでいる若手の姿もみられ、新監督のイズムが浸透し始めている。

 2月の宮崎キャンプで待っているのは、重~いタイヤトレだけではなかった。工藤監督から選手たちに“冬休みの宿題”が課せられたのは、優勝パレードとファン感謝イベントが行われた11月24日。指揮官はトレーナーを通じ「キャンプで2500メートル走と懸垂10×3セットをやるからできるようにしてこい!」と、全選手に指示を出していた。

 これまで秋山前監督時代にはオフに全選手向けの課題はなかったが新指揮官は違った。しかも2500メートル走は時間制限付き。懸垂も両腕を開き、体の横に持っていった状態でやらなければならず、腕の力だけに頼ることができない難易度の高いフォームでカウントしなければならないという。

 この日、クリスマスイベントでのトークショーで工藤監督からの“宿題”の存在を明かした城所は「(懸垂は)大半の人はできないと思うが、監督は『やればできるだろ!』ということだと思う」と前向き。西戸崎合宿所ではすでに懸垂の練習を始めている選手もおり「あのフォームだと肩甲骨周りの広背筋を使わないといけない。でも、やっておけば肩も痛めないだろうし、しっかり走り込みもしておけよということだと思う」と話した。

 筑波大大学院では人間総合科学研究科で体に関する理論を研究してきた工藤監督。春季キャンプでは厳しいトレーニングを行うことをすでに宣言しているだけに“宿題忘れ”は禁物。選手たちは2月1日のキャンプインまで、気の抜けないオフを過ごすことになりそうだ。【福岡吉央】<工藤流春季キャンプ構想>

 (1)タイヤトレ

 巨大なタイヤを全身で持ち上げてひっくり返すトレーニングを予定。すでにタイヤは発注済み。

 (2)データ化

 全選手の能力を項目ごとにデータ化し、全コーチで情報を共有。数字で課題を示す「通信簿」をつくる。

 (3)勉強会

 1~3軍の全コーチを対象に、ケガとリハビリをテーマとした勉強会の開催を検討。

 (4)チャンスは3度

 春季キャンプとオープン戦で若手に最低3度チャンスを与える。