中学生世代ではプロ12球団初となる硬式野球チーム「東北楽天リトルシニア」が発足した。25日に結団式を行い、4月から本格的なスタートを切る。すでに日本リトルシニア中学硬式野球協会東北連盟にも加盟。約100人の応募者の中から2度のセレクションを経て選ばれた創設メンバー20人は、国内プロ球団初の取り組みになる“楽天アカデミー”の先駆者になる。

 プロ野球・楽天の下部組織「東北楽天リトルシニア」が誕生した。プロサッカーの各クラブはジュニアやユースチームを運営しているが、プロ球界のリトルシニアチームは初めて。コボスタ宮城の室内練習場で25日に行われた発足・結団式で、立花球団社長は「素晴らしい成人になれるように最大限サポートしていきたい」とあいさつした。

 個性豊かな新中学1年生20人が初代メンバーに決まった。セレクションでは技術だけでなく、将来性を重視した。麦谷祐介外野手(仙台市・東四郎丸小6年)は陸上の宮城・小学5年100メートルで14秒21で優勝。「みやぎゴールドジュニアトップアスリートアカデミー」にも認定され、月1回ペースで各競技の元五輪選手から指導を受けている。麦谷は「プロ選手と同じ環境でできるのがうれしい。足の速い選手になって優勝したい」と夢を広げた。ほかにも仙台市小学生陸上記録会の100メートルや走り幅跳び、ソフトボール投げの優勝者がズラリ。山形県スポーツタレント発掘事業「YAMAGATAドリームキッズ」4期生の村上健太内野手(南山形小6年)も「3年間頑張って自分を高めていきたい」と闘志を燃やした。

 指導は広橋公寿総監督(58)、中浜裕之監督(36)に、川岸強、古川翔輝、佐々木敬典3コーチを加えたプロ経験豊富な5人があたる。それぞれ専門の異なるコーチが、情報を交換、共有しながら指導する。トップチーム使用の体調管理スケジュールも応用するなど、プロのノウハウもかみ砕いて分かりやすく指導していく予定だ。広橋総監督は「金の卵たちですが、全員がプロになれるわけではない。大きなテーマは野球を通して人間力を育成すること」と指導方針を掲げた。

 チームは4月から毎週火、木、土、日の週4日、2軍施設を利用して活動予定だ。学業優先で平日は午後6~7時開始のナイター練習になる。最終的には各学年10人前後の約30人体制になる。発足初年度の今季は、1年生軍団でリトルシニア硬式野球界に挑む。外野手兼任の吉原瑠人捕手(仙台市・愛子小6年)は「二塁でしっかり刺せる嶋選手のようなキャッチャーになって日本一になりたい」と力を込めた。【佐々木雄高】